棚卸資産とは、営業収益を上げることを目的として自社が保有している資産のことです。棚卸の必要な業種では、原則として決算時に実施の棚卸を行い、資産として計上します。
棚卸資産の勘定科目には、『商品』『製品』『半製品』『仕掛品』『原材料』『貯蔵品』があります。
棚卸の対象は仕入在庫や貯蔵品などで、仕入在庫には、『商品』や『製品』、『仕掛品』や『原材料』のほか、未着品や積送品、半製品、副産物、仕損じ品や作業くずを含めます。
貯蔵品には、決算時までの未使用の消耗品や事務用品、切手やはがき、収入印紙、使用可能期間1年未満か取得化額10万円未満の未使用で減価償却の対象にならない『工具器具備品』などを含みます。
目次
棚卸資産の範囲
棚卸資産は以下の4つの分類に大別されます。
棚卸資産の範囲 | 項目 |
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販売するために保有しているもの | 商品・製品・半製品等 |
販売するために製造中のもの | 仕掛品・未完成工事等 |
商品や製品を製造するために短期間で消費されるもの | 原材料等 |
販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるもの | 貯蔵品等 |
棚卸資産に含まれるもの
商品 | 物品を販売する会社が、販売するために所有している物品です。 |
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製品 | 製造・生産を行う会社が、販売するために所有する製造品・生産品です。 |
仕掛品 | 製造・生産の過程にあり、現に仕掛中のもので、そのままの状態では販売できないものです。 |
原材料 | 製品の製造・生産のために消費される物品で、未使用の状態のものです。 |
貯蔵品 | 製造・生産のために短期間で消費される工場消耗品や販売活動や一般管理活動のために短期間で消費される事務用消耗品です。 |
未着品 | 仕入して運送中の物品です。遠隔地で買い付け、船便などで輸送中の物品を資産に計上します。 |
積送品 | 委託販売のために受託先に送付した物品です。販売されるまでは資産に計上します。 |
半製品 | 製造の中間工程を終了し、製品として完成していない状態でも、外部に販売可能な未完成品です。 |
副産物 | 製造工程の途中で、製品とは別に派生する物品です。 |
仕損じ品 | 製造工程で生じた不良品です。 |
作業くず | 製造工程で生じた売却価値のある切りくずや削りくずです。 |
棚卸資産の計算方法
棚卸資産の数量の計算には「棚卸計算法」と「継続記録法」があります。
「棚卸計算法」は、期末に棚卸を行って、在庫数量を把握する方法です。「継続記録法」とは、品目ごとに受払いのすべてを帳簿に記録する方法です。基本的には「棚卸計算法」を採用し、在庫管理の必要度に応じて「継続記録法」を併用するのが一般的となっています。
棚卸資産の取得価額
棚卸資産の取得価額は、取得形態により異なり、次のように計算されます。
購入した棚卸資産
購入した棚卸資産の取得価額は以下の式で計算されます。
購入代価+直接付随費用+間接付随費用
- 購入代価…送り状価格から値引き額、割戻し額を控除した金額です。
- 直接付随費用…引取運賃、荷役費、関税、運送保険料、購入手数料などです。
- 間接付随費用…買い入れ事務費、検収費、社内の移管費用、特別な時期に販売するための保管費用などです。
商品や原材料などの購入した棚卸資産は、購入代価と付随費用の合計額を取得価額とします。
付随費用とは、運賃、荷役費、関税などの直接付随費用と社内の買い入れ事務費、検収費などの間接付随費用からなります。
間接付随費用に関しては購入価額のおおむね3%以内ならば算入不要で、販売費及び一般管理費として処理することが税務上認められています。
製造した棚卸資産
製造した棚卸資産の取得価額は以下の式で計算されます。
製造原価+間接付随費用
- 製造原価…適正な原価計算基準によって算定された製造原価です。
- 間接付随費用…製造に要した検査・整理などに要した費用、社内の移管費用、特別の時期に販売するための保管費用などです。
製品、半製品、仕掛品などの製造、生産した棚卸資産は、製造原価と付随費用の合計を取得価額とします。
間接付随費用に関しては製造原価のおおむね3%以内ならば算入不要で、販管費及び一般管理費として処理することが税務上認められています。
棚卸資産の仕訳
決算時、棚卸資産の取得原価は、まず、売る挙げ原価や製造原価と、在庫となる繰越原価に配分されます。次に実地棚卸によって、帳簿上の在庫となった原価のうち、減耗による減耗損や、品質低下等による評価損を当期の費用・損失として配分します。そして最後に、繰越原価の市場価格が下落している場合に、その下落額を評価損として配分します。
棚卸資産の評価
商品や原材料などの物品の仕入価格は、同じ種類であっても、常に一定とは限りません、それは仕入先が同じでも価格変動があったり、仕入先が異なれば別の仕入れ価格になる場合もあるためです。また、季節による価格変動などもあるため、棚卸資産の評価が必要となります。
棚卸資産の評価基準
棚卸資産の評価方法は「原価法(取得原価基準)」と「低価法(低下基準)」に大別されていましたが、新しい会計基準により企業会計上は、平成20年4月1日以降、開始される事業年度からは取得価額と期末の時価を比較して、低い方で評価する「低価法」に一本化されました。
ただし税法上は「原価法」・「低価法」の選択適用が認められています。原則的に「原価法」による評価が行われており、棚卸資産の酒類や品質・型などに応じて「個別法」、「先入先出法」、「総平均法」、「移動平均法」、「最終仕入原価法」、「売価還元法」の6種類の評価方法から、あらかじめ税務署に届け出た方法で評価しています。また、原価法により期末の市場価値が低下するような物品の場合、税務署に届け出て「低価法」を採用することもできます。なお届け出ていない場合は「最終仕入れ原価法」による評価となります。
原価法による棚卸資産の評価
個別法-こべつほう- | 棚卸資産の全部を、それぞれ個別の取得価額を評価額として計算する方法です。 |
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先入先出法-さきいれさきだしほう- | 棚卸資産の種類や品質などで区別し、仕入順に出庫したと見なして、期末に最も近い日の取得価額で計上する方法です。 |
総平均法-そうへいきんほう- | 棚卸資産を種類や品質などで区別し、それぞれ期首の取得価額の総額と期中の取得価額の総額との合計を総数量で割って一単位の取得価額とする方法です。 |
移動平均法-いどうへいきんほう- | 棚卸資産を種類や品質などで区別し、それぞれ仕入の度に残高と新規仕入高の平均単価を計算して、期末に最も近い日に計算した平均単価を一単位の取得価額とする方法です。 |
最終仕入原価法-さいしゅうしいれげんかほう- | 棚卸資産を種類や品質などで区別し、それぞれ期末に最も近い日に取得した取得価額を、その一単位当たりの取得価額とする方法です。 |
売価還元法-ばいかかんげんほう- | 棚卸資産を種類や品質、通常の差益の率などで区分して、それぞれ通常の販売価格の総額に原価率を掛けて計算した金額をその取得価額とする方法です。 |
最終仕入原価法による評価
最終仕入れ原価法による評価の計算は以下の式によって求められます。
期末に最も近い時期に仕入れたその棚卸資産の取得価額×期末棚卸資産の数量=期末棚卸高
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