組織

事業部制組織


事業部制組織(じぎょうぶせいそしき)とは、機能別組織マトリックス組織と並ぶ基本的な組織構造の一つで、提供する製品サービス(ex.テレビ事業部、冷蔵庫事業部など)ごとで役割分担された組織構造です。
また、企業が持つ製品(商品)やサービス毎だけではなく、地域毎や顧客毎などにも応用されており、基本的に複数の事業を営む企業で採用されている組織構造です。

機能別組織が全体で基本的に一つの製品やサービスを作り上げるのに対して、事業部制組織にはそれぞれの事業部に、生産・開発、販売、営業など、その事業部に必要な機能を一式すべて置き、各事業が自己完結型で業務を果たす組織となっています。

事業部制組織はアメリカの化学複合会社デュポンが考案し、アルフレッド・スローン氏がアメリカ・ゼネラルモータースに適用したことが始まりとされています。日本では1933年に松下電器産業、現在のパナソニックが導入したのが初めとされています。

 

 

事業部制組織の種類

事業部制組織には主に3つの種類に大別され、業種・業態により採用する組織形態を決定します。
採用する基準は一般的に製品または技術中心の定義にするか、あるいは顧客中心の定義にするか、そんな「事業の定義」によるものです。

 

製品別事業部組織

製品別事業部制組織はもっとも一般に採用されている事業部制組織で、製品・技術を軸にして事業を定義したものです。
それぞれの製品・サービスごとに、開発部や生産部、販売部、経理部といったような部署が全て詰め込まれたオールインワンタイプになっています。

 

顧客別事業部組織

顧客別事業別組織とは顧客層を軸にして事業を定義して事業を編成したものです。
顧客層とは性別や年齢、家族やライフステージ、さらには年収や職業、ライフスタイルなどを指した総合的なもので、それらのニーズを一つの製品で満たすのは不可能なため、顧客層ごとに製品やサービスを開発していきます。

 

 

地域別事業部組織

地域別事業部制組織とは、地方・地域を軸にして事業を編成したものです。
自動車企業がこの組織形態に向いており、東北地方、関東地方、東海地方、関西地方、九州地方など、それぞれの地方を事業部と位置づけ、その部門ごとに車の製造、販売の機能をそれぞれ持っています。

事業部制組織のメリット

全体的な視野を持ったゼネラルマネージャーが育ちやすい

一つの職能に特化したリーダーが生まれやすい機能別組織と比べ、事業部制組織では全体の成功が常に優先され、また事業部の長は開発や生産、販売、経理などすべての部署を見ながら総合的に判断しなければならないため、全体最適の視点を持ったゼネラルマネージャー、次期経営者候補が育ちやすいというメリットがあります。

責任の所在が明確

事業部制組織では各事業部に権限委譲が行われ、事業完結的な事業運営を行います。事業部長は大きな権限を与えられる代わりに、その事業の長として利益責任を負うことになり、責任の所在が明確になります。
また損益計算書も事業部ごとに作成するため、さらに利益責任も明確にデータ化され、さらなる業務向上に向けたインセンティブも働きやすいといったメリットもあります。
また、迅速な意思決定も可能なため、組織としての対応もスムーズに行われるようになります。

 

 

意思決定・意思疎通を迅速に行える

機能別組織では機能ごとに分かれているため意思決定・意思疎通が遅いという点がデメリットとなっていましたが、事業部制組織では市場調査や販売、経理まですべてその事業部内で行うため、現場や市場を把握しやすく、迅速かつ柔軟な意思決定・意思疎通もしやすいというメリットがあります。

 

 

 

事業部制組織のデメリット

非効率性

事業部制組織では共通利用可能な人員や部品などの資源や、販売部や工場などの機能が重複してしまうというデメリットがあります。
例えばA事業部とB事業部という事業があり、それぞれに共通利用が可能な販売組織や工場があるのにかかわらず、それらを別々に単独で用いていると非効率です。

 

 

事業部の論理が全体の論理に優先されがちになる

機能別組織では全体の論理に合わせて各機能全体で一つの製品を作り上げることに対し、事業部制組織では事業部に権限委譲をし、事業完結的な事業運営を任せた場合、事業部の論理が全体の論理よりも優先される傾向があります。
もちろん、現場での論理がその場で働いている人たちにとっては都合がよいもので業務を進めやすいですが、各事業部が別々の論理を持ち業務をした場合、全体として、ひとつの会社としてのアイデンティティを保つことが困難なものなってしまうというデメリットがあります。

事業部の壁を越えた新サービスが生まれにくい

事業部制組織では各事業部が独立しているため、それぞれの事業部の隙間におちるような、あるいは事業部をまたがるような総合的な製品やサービス、また新しい技術への対応が困難なことがデメリットとなります。
対応策としては、各事業部に独自に対応させ、勝手に隙間をうめさせる、勝手にまたがることをさせ、重複が起きた場合に内部競争などで解決、あるいは事業部間の調整を行う横断的な組織の設立を行う、そして事業部自体を再編成することなどがあります。

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