意匠権

いしょうけん Design rights

意匠権(いしょうけん)とは、知的財産としての意匠を自社または個人が独占的に利用することができる権利です。
意匠とは、例えば扇風機やペン、イヤホンなど、私たちの身の回りにあるものの形状や模様などのデザインのことです。
同じような権利に特許や著作権、商標権がありますが、特許は機能や構造等の技術的なアイデア、著作権は画像や動画、音楽や文章、商標権は企業のロゴやサービス名、ブランド名を保護するのに対し、意匠権は工業的な商品の形状、模様、色彩等の外観デザインを保護しています。

また、意匠権は、取得した意匠権を他人に譲渡、あるいは使用を許可することもできます。
第三者が無断で、登録されている意匠を用いている場合には、差し止め請求や損害賠償請求をすることも可能です。

 

 

意匠権の期限

意匠法第21条「意匠権(関連意匠の意匠権を除く)の存続期間は、設定登録の日から二十年をもって終了する」と規定されている通り、意匠権の存続期間、つまり権利が有効な期間は基本的に登録日から20年となっています。
そのため20年間は独占的にデザインを使用することができますが、権利の更新の制度がないため、20年後は第三者がそのデザインを使用できるようになります。

 

 

意匠権のメリット

第三者によるコピー・類似防止

斬新でオリジナリティのある製品を公開した場合、意匠を取得していなければその製品の類似品、コピー品が生まれる傾向があります。
しかし製品のデザインについて意匠権を取得しておけば、意匠権を侵害する類似品に対して意匠権の侵害として、上記したように、差止請求、損害賠償請求を行うことが可能です。
また意匠権は企業に限った権利ではなく、個人でも取得することができるため、自らが商品販売を行わない場合に、意匠を利用してビジネスを展開したいという企業からライセンス料をもらうことも可能となります。
 

 

様々なリスク対策

もし意匠権を取得していない場合、似ているデザインの製品を作っている新規参入企業が意匠権を取得した時点で、自社で作っている製品の販売中止、またはデザインを変更する必要があります。
しかし意匠権を取得している場合、そのような対応をする必要はなく、また、新規参入企業の意匠権取得を未然に防止できたり、発注元の発注先の変更など経営戦略上の様々な障害に対応でき、意匠権の存在は非常に大きいメリットとなってきます。
 

 

競争において優位に立てる

意匠権を取得した場合、基本的にその製品は世界で一つのオリジナリティのある物品なのですから、企業のロゴやサービス名のように、他には真似することのできない、その企業でしか手に入らないブランド力のあるものになってきます。
こうしたブランディングは他社との差別化を図る上で非常に大きなメリットであり、意匠権は、このような製品の利益の源泉であるデザインを真似されないように保護することが可能です。
 

 

意匠権のデメリット

費用が高い

意匠権は取得する為の初期費用だけでなく登録料などの維持費もかかります。
まずは出願料16,000円、1年目~3年目までの登録料8,500円/年、4年目~20年目までの登録料16,900円/年の費用がかかり、さらに登録までは特許事務所の力を借りる必要があるため、最低でも20年間で30万円ほどが目安となります。
 

 

コピーと認められる範囲が狭い

もちろんコピー製品のデザインが全く同じ場合は意匠権の侵害となりますが、本意匠とすこしデザインが似ているかも…、という程度ならば「コピー製品ではない」と判断される場合が多いのが実情です。
この意匠権のデメリットを少しでも解消するため、特許庁では後述する『部分意匠制度』や『関連意匠制度』など意匠法特有の制度を設けています。
 

 

意匠権の国際登録出願

国際登録出願とは、マドリッド協定議定書による制度です。
従来は日本で取得した意匠権は日本のみでしか効果がありませんでしたが、この制度により出願や登録に基づいて意匠権の効力を求める国を指定して、日本特許庁を通じて国際事務局に国際登録の出願ができるようになりました。
出願を行い、国際事務局が維持管理する国際登録簿に出願した商標が登録された場合、指定した国において一定の条件を満たすことにより、出願した意匠の保護を確立することができます。

 

 

意匠権の制度

部分意匠制度

部分意匠制度とは、製品の一部のデザインを保護する制度です。
意匠権自体は製品の全体のデザインを認めることが原則ですが、製品の一部分に独創的なデザインが認められても全体を見た場合は単純なデザイン、あるいは、意匠権が認められている製品の一部分をもらっても意匠権の侵害にはならない、そのような不都合が生じることがあるため、この制度が設けられました。
この制度により、例えばペンの持ち手のみなど、製品の一部の部分のみ意匠権を取得することができます。
また、製品全体の意匠が出願されている場合は、後願としてその部分の意匠を出願しても、当該部分意匠の出願は後願であるとして拒絶されることがあります。
しかし、先に部分意匠が出願され、後願として全体の意匠が出願された場合には、全体意匠が優先され、後願した全体意匠が拒絶されることはありません。

 

 

関連意匠制度

関連意匠制度とは、本意匠の広報発行の前日までに出願した場合に限り、本意匠と類似する第三者の意匠の登録を認める制度です。
製品デザインの開発において、一つのデザインから多くの類似の意匠が同時に創作される場合があるため、こうした複数の類似意匠を意匠法9条の先願主義の例外として効果的に保護することが可能です。

 

 

秘密意匠制度

秘密意匠制度とは、意匠法第14条1項に定められている、出願時、特許庁に登録日から最大3年まで、登録された意匠を秘密にしておきたい旨を伝えた場合(意匠法第14条2項)、意匠が公開されない、第三者に秘密にしておくことができる制度をいいます。
意匠は公開されると模倣、盗用の危険にさらされるため、製品販売の戦略上、出願した製品の販売開始まで秘密にしておきたい場合、この秘密意匠制度が効果的です。
秘密意匠制度では、意匠権者の承諾、または秘密機関経過後、意匠が公開されます。
 

 

 

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