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経営戦略

プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメント(PPM)

プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメント、またはPPMとは、事業の魅力と自社の競争力をそれぞれ事業ごとに評価し、キャッシュを生み出す事業と投資が必要な事業を区別したうえで、自社のポジショニングを明らかにし、「金のなる木」、「花形事業」、「問題児」、「負け犬」のどれかに位置づけようとするものです。
位置づけをしたうえで、それぞれ位置づけされた事業の今後の戦略を決めていきます。
1970年にボストン・コンサルティング・グループが考案し、企業のそれぞれ独立した事業において、利益の出しやすさ、投資の必要性などの観点から余剰な経営資源を見出し、どこにどれだけ分配するかを決定するために用いられるプロット(図)です。

 

 

プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントの2つの軸

市場成長率とは

市場成長率とは、その業界、または業種に前年と比べて、一年でどれほどお金が流れ込んでいるのかを表したものです。
その計算式はその市場の今年度の総売り上げ÷前年度の売上であらわされ、例えば前年度その市場に100万円が流れ込んだとして、今年度が110万円だった場合は10%の市場成長率ということです。
市場成長率が高ければ、新規参入が激しくなり、ある一定の市場シェアを獲得しているだけで売上は基本的に右肩上がりに増加するという考え方ができ、また成長中の市場と成熟して成長が止まった市場では、マーケティング戦略が大きく変わってきます。

相対マーケットシェアとは

相対市場シェアとは、比較対象とする他社製品のシェアと自社製品とのシェアの比率(自社のシェア÷他社のシェア)を指します。これは市場全体に占める自社製品のシェアではなく例えば自社製品が業界3位で20%のシェア、そして業界1位の企業の製品が60%のシェアを占める場合は自社の相対市場シェアは約0.3となります。
基本的に自社の占める相対マーケットシェアが大きければ大きいほど、スケールメリットが働き作業効率やコスト面で優位に立てる傾向があります。

 

 

プロダクト・ポーロフォリオ・マネイジメント(PPM)の構成


事業は永遠に続くわけではなく、人間の一生のように誕生・成長・成熟・衰退を経ることが通説です。
これをプロダクト・ライフサイクルといい、プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントにもこれが大きくかかわってきます。

 

金のなる木(Cash Cow)-キャッシュの源の事業

金のなる木は相対的シェアが高いため、資金の流入が大きく、一方で市場成長率は低いので資金投入は少なく済みます。
したがって、このセグメントの事業からは潤沢なキャッシュが期待できます。
普段は成熟期にあたり事業自体の将来性には大きな魅力はありませんが、そこで自社の競争上の優位性が高い事業、今はキャッシュの源になっている事業にあたります。

 

マーケティング戦略ー維持戦略

金のなる木ではすでに市場は成熟して、投資もあまり必要がないため、キャッシュを安定させます。

 

 

花形事業(Star)-キャッシュの投入・流入の激しい事業

花形事業は相対的シェアが高いため、資金流入は期待できますが、市場成長率も高いため資金流出も大きくなります。
そのため大きなキャッシュの創出は期待できませんが、将来的に「金のなる木」に育てる必要があります。
花形事業は成長期にあたり事業としての将来の魅力もあり、また自社の競争上の優位性の高い分野、現在は大きな資金流入と同時に資金投入も必要ですが、将来はライフサイクルの変化とともに資金投入の必要性も減り、「金のなる木」に代わっていく可能性があります。

マーケティング戦略ー拡大戦略

芳醇な利益を生み出していますが、成長期にあたるため競合との競争が激しく、本事業から生み出した利益は継続的に本事業への投資が必要です。

 

 

問題児(Question Mark)-育成段階の事業

問題児は相対的シェアが低いため、資金流入は小さいですが、市場成長率が高いので資金流出は大きくなります。
成長性に期待はできますが金食い虫でもあるので、思い切りのいい投資をしてシェアを獲得するか、思い切って撤退するかの判断が求められます。
問題児は成長期にあたり産業としての魅力は大きいですが自社の競争上の優位性が高くない分野です。
現在かなりの資金投入が必要ですが、将来それが大きな資金流入をもたらすかどうかは不明です。
問題児は競争上の優位性を改善することが必要ですが、その改善のためには成長期のライフサイクルに追いついてゆく以上の資金投入が必要です。

 

マーケティング戦略ー拡大戦略

主に問題児で利用する戦略です。本事業から得られる利益を本事業に投資する以外にも、他事業で得られた余剰の経営資源を問題児に対して成長のための投資を積極的に行い、花形事業への昇華を目指します。

 

 

負け犬(Dog)-キャッシュの投入・流入が小さい事業

負け犬は相対的シェアも市場成長率も低いため、事業として成功する見込みが低いと判断するべきセグメントです。
ライフサイクル上では衰退期にあたり、成長の鈍化などで産業としての将来の魅力も小さく、さらに競争力もあまり持たない事業です。
資金投入は必要ありませんが、優位性もないため資金流入もありません。つまり、企業としては戦略的撤退を考えるべき事業となります。

 

マーケティング戦略ー撤退戦略

負け犬に位置づけられた事業は事業撤退・事業売却を目指します。しかしまだ撤退するのが惜しいほどの利益が絞り出せるのならば利益最大化を図ってみてもいいでしょう。

 

 

 

PPMの理想


プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントにおいては、「金のなる木」から得たキャッシュ、または「負け犬」やシェア拡大を見込めない「問題児」の売却益を、将来有望な「問題児」や「花形事業」に投入し、その「問題児」を花形事業に育て上げ、将来的に新たな「金のなる木」を育成するというステップが理想となります。

 

 

 

プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメント(PPM)のデメリット・限界

事業間のシナジー効果を無視している

シナジー効果とは相乗効果のことです。
プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントの最大の問題は、事業が生み出す資源をカネのみに限定していることです。
実際には事業が生み出すものはカネのみでなく、見えざる資産でもある情報的経営資源の2つです。情報的経営資源が複数事業の間を回っており、競争力を生み出していることをPPMは無視しています。
事業単位になら負け犬や問題児に位置づけられている事業でも、他の事業とシナジー効果があり、どちらか、あるいはどちらも利益が増大している可能性も多々見かけられます。

 

 

負け犬や金のなる木に配置された事業の従業員のやる気を下げてしまう

とりわけ負け犬や金のなる木として位置づけられた事業単位は十分な資源配分をしてもらえず、内部での投資も難しくなる傾向があるため、将来の発展がないとなると、従業員のやる気・動機付けは難しくなります。
 

プロダクト・ポートフォリオ・マネージメントのメリット・目的

限られた経営資源を最適に分配する

PPMには前述した問題点がありながらも現在でも多くの企業で採用されています。
その理由は、きわめて難しい事業を止める決断の指針となり、多面的な配慮により物事の進展がない場合は、事業の撤退の必要性をはっきりさせることに非常に効果的なためです。
撤退という決定は後ろ向きではありますが、この決定を下すことによって経営資源を他の事業に集中することができるという前向きの行動を起こすことができます。
このように、撤退を決定する「選択と集中」、そして経営資源の再分配による「事業の拡大」を行うことができることがメリットになるでしょう。

 

 

 

GEのビジネススクリーン

GE(ゼネラル・エレクトリック社)のビジネススクリーンとはプロダクトポートフォリオマネイジメントをより高度化させたものです。ゼネラル・エレクトリック社とマッキンゼー社が共同で生み出しました。
プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントでは「市場成長率」と「相対マーケットシェア」を2つの軸にしているのに対し、GEのビジネスクリーンでは様々な要素を圧縮し高度化した「長期的な業界の魅力度」と、「競争ポジション」を2つの軸にしています
これは、事業の競争力と事業の魅力を多数の基準をもとに評価しようとしたもので、2つの軸を高・中・低に3等分し、事業をさらに9つのタイプに細分化し、経営資源配分の方針を決定しようとするものになっています。
結果として、プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメントが現時点での事業の立ち位置しか分析できないことに対し、GEのビジネス・スクリーンでは現在と未来での事業の立ち位置を分析することができます。

 

 

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