経営戦略

シナジー効果

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シナジー効果とは、異なる経営資源を組み合わせることで、経営資源間の相乗効果を発揮することです。異なる2つの事業の経営資源を組み合わせることで1+1が2以上になるような効果で、具体的には企業が新商品を発売する際に、既存の販売チャネルや生産設備を活用することで、初期投資コストが低減するような場合を指します。そのため、新たに得られる利益は、ゼロから生産設備を構築したり、販売チャネルを構築するよりも大きくなります。他にも設備の共有化や仕入交渉力の向上によるコスト削減効果、あるいは、経営資源やノウハウの相互補完効果などがあります。

 

シナジー効果の重要性

シナジー効果を狙ったM&Aや業務提携を行うことで、技術力の向上や顧客情報の取得による事業拡大が見込めます。会社の方向性を考え、事業を手掛けることは株主に高評価を得られるので、株価指数の上昇により企業価値が高まります。

また、市場ニーズの多様化や幅広い業種のIT導入により、企業は1つの事業だけでは他社との競争に負けてしまいます。
激しい競争環境の中で企業が生き残るためには、シナジー効果を狙って企業成長を図る必要もあります。

 

 

シナジー効果のメリット

コスト削減

事業提携やM&Aにおいて期待されるシナジー効果にコスト削減が挙げられます。仕入や販売、物流、製造、間接費、研究開発などに関わる業務の集約化や重複する設備の削減で効率化をはかり利益が最大になります。

具体的には、これまで重複していた資源の統廃合を行うことでの販売コストを削減したり、経理などの管理部門を一つに集約し間接部門費を削減したりすることなどをいいます。

また、業務提携などで仕入れ先を共通化することで、商品をより安く大量に手に入れることができるようになり、大量に仕入れることで価格も安くなり、仕入れ先との値段交渉も少量を購入する場合よりも有利に進めることができるようになります。

 

流通チャネルの拡大

流通チャネルとは企業から顧客に商品が届くまでの経路のことで、シナジー効果を利用することで流通チャネルの拡大が見込めます。

例えば、東北でビジネスを展開するA社と関西でビジネスを展開するB社がお互いの商品を相互に販売する営業提携をしたとします。A社はこれまで販売出来ていなかった関西の顧客を獲得することができるようになり、反対にB社は東北の顧客を獲得することできるようになります。
このように地理的な条件や顧客となるターゲットが異なる企業間で業務提携することにより、新しい市場やターゲットとなる顧客を増やすことが可能になります。

 

時間の節約

1つの企業だけで人材を集めたり、ノウハウを確立したりすることは大変な労力を要すると共にとても時間がかかる作業です。多角化や事業提携、M&Aによって、相互に人材やノウハウ、ブランドなどの経営リソースを得ることが出来れば効率よく2倍、3倍以上の利益を生み出すことが可能になります。

そうすることで時間の節約となり、大きなシナジー効果を生み出すことが出来ます。

 

ノウハウやナレッジの共有

加えて、お互いに必要なリソースを出し合うことにより、ノウハウやナレッジも共有することができるようになることもメリットの一つになります。
 

同業種、異業種のM&Aにおけるシナジー効果について

M&Aにおけるシナジー効果とは、複数の企業が連携や共同で事業を運営を行うことにより、販売・設備・技術などの機能を重層的に活用でき、単体で行動するより大きな成果や成長をもたらすことを指します。
M&Aには株式譲渡や事業譲渡、資本提携といったさまざまな手法がありますが、異なる企業文化や歴史をもつ企業同士の協力・融合によるシナジー効果を期待することがほとんどです。相手先の選定においても「どのようなシナジーが生まれる相手か」という点は非常に重視されます。
また、シナジー効果は同業種とのM&Aか異業種とのM&Aかによって、その効果や生まれる場面が異なります。

同業種のM&A

同業種間のM&Aは生産能力の強化や新たな販売経路の獲得など、既存事業の強化を図れるメリットがあります。また、すでに実績を持つ企業や事業を譲受ければ、既存の技術やノウハウ、取引先、ブランドなどをそのまま取り込むことができるため、事業を育てる時間やコストの節約につながります。これは、新規事業だけでなく、既存事業の強化でも同じ効果が見込めます。

 

異業種のM&A

一方、異業種の企業を譲受ける場合は、一見するとシナジーが生まれづらいかもしれません。しかし、場合によっては同業種間のM&Aよりも大きなシナジーが生まれる可能性もあります。
このように、異業種の会社を譲受けて既存事業を強化したうえで、新たな収益源が見込めることもあります。これは異業種間でシナジーを生み出す良い事例といえます。

一般的に同業種のM&Aによって見込めるシナジー効果は、販売シナジーと生産・投資シナジーです。一方、異業種とM&Aを行うことにより見込めるシナジーは、生産・投資シナジーと経営シナジーです。異業種とM&Aをして業界に新規参入する場合、経営ノウハウを共有してもらうことで経営シナジーを見込めるためです。

 

 

シナジーの分類

静的シナジー

静的シナジーとは、時間によって変化しない、とある一時点の相乗効果を指します。 両方とも実現できればよいですが、もし二択となった場合には、長期的に企業の成長を考えて動的シナジーの方がより好ましいという結論になります。

 

動的シナジー(ダイナミックシナジー)

ダイナミックシナジーとは、一つの情報的資源をある事業がある時点に作り出し、それを別の事業が将来の時点で利用していく、という時間によって変化する相乗効果です。その典型例は、既存事業が築いた技術の蓄積が新しい事業の発展基盤となり、その基盤から新しい事業での競争戦略を有利に展開するシナリオを描くという例があります。そのうえ、将来時点ではこの二つの事業がともに
その技術蓄積を利用できている、将来時点での静的シナジーと、現在から将来につながる相乗効果と、二つの相乗効果がこの例では生まれています。
成功する企業成長のプロセスをたどると、ダイナミックシナジーが中核にあることが多く、多角化戦略が目指すべきはこのダイナミックシナジーと言われています。
また、プロダクト・ポートフォリオ・マネイジメント(PPM)でも、前向きの方向性を示すのは、基本的に事業構造の全体戦略、とくにドメインのあり方とダイナミックシナジーを中心とする大きな展開の仕方とされています。

 

 

シナジーの種類

販売シナジー

販売シナジーとは、製品への巨閏の流通経路や販売管理組織の利用などによるシナジー効果です。
既存の販売組織、販売経路、倉庫、販売促進手法などの利用によって生まれるシナジーであり、クロスセリング・アップセリングや物流コストの削減が見込めます。

 

クロスセリング・アップセリング

クロスセリングとは、顧客が購買する、もしくはすでに利用している製品やサービスについて付加的なものを併せて販売することを意味します。また、アップセリングとは、顧客が検討しているものより単価などが高い製品・サービスの販売をすることを指します。

M&Aにおいては、譲受企業と譲渡企業の顧客に対して、それぞれの商品やサービスを販売することが可能になるため、売上拡大や間接費の削減が望めます。

 

販売チャネルの拡大

マーケティング戦略の立案、実行プロセスのひとつに4P分析があります。4P分析とは、企業が市場において目的を達成するため、コントロールできる要素を組み合わせて活用することです。

4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を指します。販売チャネルの拡大においては、Place(流通)の拡大を図ります。
Place(流通)とは、顧客に製品を提供するまでの経路を指す言葉で、M&Aによって双方の販路を活用できるようになるため、販路の拡大に伴う売上などの増加が見込めます。

 

ブランド効果

M&Aを行うことで、相手先企業のブランドを活用できることがあります。そうした場合、ブランドの醸成にかかる時間を短縮して、展開することができます。

 

 

生産シナジー

生産シナジーとは、共通の設備・人員の利用や一括大量仕入れなどによるシナジー効果です。既存の生産設備、原材料(仕入)、技術技術、生産ノウハウなどの利用によって生まれるシナジーであり、価格交渉力の強化や生産コストの削減が見込めます。

 

価格交渉力の強化

複数の企業がひとつになり、仕入れ量を増やすことなどによって、販売元に対して価格を下げるように交渉できることもあります。

 

物流コストの削減

譲渡企業と譲受企業の物流業務を統合することで、在庫の管理などにかかる費用を削減することが可能です。

 

 

投資シナジー

投資シナジーとは、プラントの共同利用や原材料の共同在庫などによるシナジー効果です。既存の研究開発やノウハウなどの情報を利用によって生まれるシナジーであり、研究開発費用の強化や技術・ノウハウの複合が見込めます
研究開発費用の強化

研究開発費を、2つの企業が効率的に提供することで、自社のみで行う場合に比べて削減できることがあります。

 

技術・ノウハウの複合

資金や時間をかけて獲得してきた技術やノウハウを共有し、複合させることでより優れさせることが期待できます。

 

管理(マネイジメント)シナジー

管理シナジーとは、新業種での問題に経験を生かすシナジー効果です。既存の経営管理能力の利用によって生まれるシナジーであり、より戦略的な経営の実施が行えるようになります。
各事業の経営陣が集めり各戦略を融合することでより優れた経営戦略の策定、実施が行えるようになります。

 

戦略的な経営が可能

譲渡企業、譲受企業の経営者や役員、管理者が集まるため、双方の戦略の強い点を融合することで、より優れた経営戦略の策定や実施が見込めます。
例えば、M&Aを行った後に、経営が軌道に乗り、企業の業績が改善する場合には、双方の経営戦略がより効果的に働いていると判断できるため、経営シナジー効果が発揮されているといえます。

 

 

収益シナジー

収益シナジーとは、買手企業と売手企業の事業が連携することにより、売上が高まるシナジー効果です。
「レベニューシナジー」とも呼ばれています。たとえば、営業力が乏しい企業があるとしました場合、M&Aによって買収した企業が営業人材を投入したり、広告費を融通したりすれば、営業力が高まって売上が増加する可能性があります。また、収益シナジーとしてクロスセリングの実現も期待できます。

 

クロスセリング

クロスセリングとは、商品の購入を予定している客に、関連商品の購入を促す販促手法です。
M&Aで統合された企業同士が、お互いの顧客に各社の商品を購入してもらえるチャンスが生まれるのも、収益シナジーだと考えられます。

 

 

コストシナジー

コストシナジーとは、規模の拡大によってコストを節約できるシナジー効果です。
規模の経済」を利用したシナジー効果であり、規模の経済とは、一定の生産設備における生産量や生産規模を引き上げて、一つあたりのコストが低下する効果です。また、事業所を統合すれば物件費の節約も期待できます。
そのほかコストシナジーの例として、価格交渉力の強化や物流コストの削減などの効果も知られています。

 

共通化コストシナジー(範囲の経済

中小企業M&Aで非常に多いシナジー効果が、M&A対象会社の本部機能を大幅に縮小し、必要な分は買い手企業が請け負うというものです。対象会社の本部費を大幅に削減でき、これだけで利益を上げることが可能になります。
なお、本部人員の解雇による人件費の削減がもっとも効果的なのですが、リストラはそう簡単にできるものではない点に注意しましょう。

 

事業コストシナジー

事業を連携させることによって売上対比のコストを削減していく効果です。
M&Aをすると売上規模が足し算になりますので、規模の経済を利かせやすくなります。
また、買い手と対象会社で仕入・購買の単価を突き合わせ、低いほうの単価に下げるよう価格交渉する方法もあります。

 

オペレーションの共有シナジー

一方の会社のコスト削減ノウハウをもう一方の会社に伝授することで、コスト削減を実現する一方的シナジー効果です。
また買収が上手な企業は、赤字に陥った会社を買収し、徹底したコスト意識を叩き込んで利益改善することで成果を上げてきました。
コスト削減につながることは多いのですが、一方でサービス品質の低下による売上減少や、社員のストレスによる退職を招くリスクには要注意です。

 

垂直統合コストシナジー

垂直統合コストシナジーとは、仕入先や販売先など、ビジネスの上流・下流を買収することで、コストを下げるシナジー効果です。
買収側からすれば、将来のコストをM&A対価として一括で払うわけですから、買収後に親子一体となってコスト削減や価値向上が伴わなければ、あまり意味のないシナジーではあります。

 

 

税金シナジー(タックスシナジー)

税金シナジーとは、のれんの節税効果や繰越欠損金の活用、合併による均等割の削減など、M&Aにより発生する節税効果に注目したシナジー効果です。

 

 

研究開発シナジー

研究開発シナジーとは、異なる企業の合併によって、以前は不可能だったプロジェクトが実行可能になるシナジー効果です。
研究開発シナジーを生み出すには、資源の再配置をしなければなりません。
具体的には、研究開発資源の共有や、共同チームの再編成です。
また、合併した企業同士で互いに保有している知識を理解・消化・活用する必要もあります。
したがって、企業同士でコミュニケーションを活発化させたり、組織を改革したりしなければなりません。

 

財務シナジー

財務シナジーとは、潤沢な資金を持つ企業の参加に入ることで生まれるシナジー効果です。
財務基盤が安定しない企業が、潤沢な資金を持つ企業の参加に入ることで生まれるシナジー効果で、上場企業の中には、使い道が決まっていない余剰資金を保有している場合があります。
M&Aによって余剰資金を活用できれば、資金余力の改善に繋がる可能性があります。
中小企業のM&Aで期待されるシナジー効果でもあり、また、M&Aによって繰越欠損金の債務を承継すれば、財務シナジーとして節税効果が得られることもあります。繰越欠損金とは、翌年度以降に繰り越せる税務上の赤字であり、将来の課税所得と相殺できる効果があります。

 

 

シナジー効果を生み出す方法

一般的には以下のような方法があります。

 

多角化戦略

多角化とは、企業の総合的な売上・収益を向上させるために、主力事業とは別の分野に進出し、シェアの獲得及び拡大を目指す経営戦略です。多角化には、「水平型多角化戦略」、「集中型多角化戦略」、「垂直型多角化戦略」、「集成型多角化戦略」の4つに分類でき、自社にあった戦略を構築できます。中でも水平型多角化戦略は自社が持つ技術を基に新たな市場を開拓させる有効な手段であり、経営資源の有効活用によるシナジー効果が期待できます。
多角化戦略は既存の製品と市場を利用する関連多角化と新規の市場に新たな製品を投入する非関連多角化があります。
関連多角化に比べると無関連多角化リスクが高いことがあげられます。
多角化を行うことでコストや売上、研究開発などでシナジー効果を狙い、リスク分散を行うことが狙いになります。
多角化の切り口として検討するためにアンゾフの成長マトリクスが使われ、事業の資源配分を検討するためにはプロダクト・マーケット・ポートフォリオが使われます。

水平型多角化戦略

水平型多角化戦略とは、既存の市場と同様のの市場を対象として、新しい製品やサービス領域に進出する多角化戦略です。水平型多角化戦略は、既存の生産技術や流通経路を利用できることから後に詳しく見る「シナジー効果」の獲得が期待できます。

 

垂直型多角化戦略

垂直型多角化戦略とは、現在の事業の上流・下流の分野を網羅する多角化戦略です。下流への多角化を「前方的多角化」、上流への多角化を「後方的多角化」といい、すでに蓄積された取引関係、販売スタッフなどの経験を生かせることがメリットとなります。

集中型多角化戦略

集中型多角化戦略とは、既存製品(サービス)と新製品(サービス)の間で、技術とマーケティングのどちらかもしくは両方へ関連性を持たせるように行う多角化となります。例をあげれば、テレビからカーナビへの進出、デジタルカメラに使用しているレンズを医療機器に転用する、あるいは産業用アルコールのメーカーが焼酎を製造するなどの例が挙げられます。集中型多角化戦略のメリットには、企業内に蓄積された技術的な資源や能力を活用できることが挙げられます。

 

コングロマリット型多角化(集約型多角化)

コングロマリット型多角化(集約型多角化)とは、従来の事業領域とは全く異なる分野で、新しい製品やサービスを開発し、新市場への進出を図る多角化戦略です。まったく新しい分野へ事業を展開することになるために、ハイリスク・ハイリターンが特徴的です。

 

 

M&A

M&AはMergers and Acquisitionsの略で企業の合併と買収のことです。
M&Aとは、企業の買収及び合併を意味する経営用語です。M&Aのメリットは、主に市場支配力、市場効率性、税の控除の3つで、これらの要素を基にシナジー効果を発揮します。具体的には、市場支配力では仕入れのコスト削減が、市場効率性では生産性向上による新たな価値の創出が、税の控除では事業譲渡における消費税控除や繰越欠損金の特例(いずれも条件が存在します)が挙げられます。

M&Aは時間的・費用的にもメリットが多く、高いシナジー効果を創出する実現方法として活用されています。M&Aには、生産者余剰・消費者余剰の解決を目指した上流・下流の一本化を図る垂直型M&Aと、既存事業と関連のない分野を手掛ける企業を買収するコングロマリット型M&Aがあります。
M&Aには以下の種類があげられます。

合併

合併は企業が他企業と互いの資本と組織を法律にのっとり一体化させることです。
1社を存続させる吸収合併と両方をいったん消滅させて新しい企業を新設する新設合併があります。

 

買収

ある企業が発行している株式を取得して子会社化したり新株発行増資を受けて会社の経営権を握る方法です。

 

事業譲渡

ある事業に関する資産を譲渡する方法です。
事業譲渡の対象は設備や建物、特許、ブランドなどが含まれます。

 

 

事業提携

異なる商品・サービス、技術を持つ企業同士の事業提携は、お互いの企業価値を高め、ノウハウを共有することで、高いシナジー効果を得ることができます。お互いの事業を提携することで相互補完が可能となり、それぞれの経営課題を解決することができます。特に経営ノウハウの共有化は、海外市場への進出や生産性の向上などに高いシナジー効果を発揮することができます。

 

 

アンゾフの成長マトリクス-シナジー効果を導き出すフレームワーク-

シナジー効果を予測するフレームワークの代表的なものに、「アンゾフの成長マトリクス」があります。アメリカの著名な経営学者イゴール・アンゾフ教授が提案した、成長戦略を分析するフレームワークです。

縦軸に「市場」、横軸に「製品」をとり、それぞれ「既存」「新規」に分けて4象限のマトリクスを作成します。それぞれのマスは「市場浸透戦略」「新市場開拓戦略」「新商品開発戦略」「多角化戦略」と位置付けて、どの戦略をとるか分析・決定するものです。また、選択すべきM&A戦略とシナジー効果を導き出すために活用することができます。

市場浸透戦略を行う場合、M&Aによって規模を拡大することで売上の拡大や、規模の経済によるコスト削減を狙う戦略が有効です。M&A後すぐにコストシナジーが発揮され、業績が良くなる場合もあります。
新市場開発戦略では自社が有していない販売経路や地域、事業を持つ企業とM&Aを行い、新市場への拡大を図り、既存の商品を販売します。これにより規模の経済性による収益性の改善が期待されます。
また、新製品開発戦略を取る際には、自社と異なる製品群を扱う企業とM&Aを行うことで、製品開発力の向上などの効果を期待できます。複数の事業を展開しながら経営資源を共有化することで、全体の経営効率を高めることを指し示す、「範囲の経済」が得られる場合があります。

また、多角化戦略では新たな製品を新たな事業で展開するため不確実性が高いため自社のノウハウを活かせる関連性の高い企業とM&Aを実行することで成功の可能性を高めることができます。
このようにM&Aを活用すれば、自社にない技術やノウハウといった強みをもつ他社との提携や譲受けを通じて、効率的な事業多角化や新規事業への参入が期待できるのです。このように、「アンゾフの成長マトリクス」は企業の成長戦略を分析するほかに、M&Aのシナジー効果を導き出す際にも活用できるのです。

 

 

シナジーの罠

シナジーの追及はグループ経営の観点において検討するべき重要な経営戦略の1つですが、個別事業の主体的な活動を奨励する一方で、全体最適を確保することは容易ではなく、これまでもシナジーを狙った大型のM&Aが、いわゆる「シナジー」の罠にはまって数多く失敗しています。
シナジーの罠とは、企業がシナジー追及を行うことで、単独では存続できない不採算事業を温存したり、個別事業の戦略自由度が下がり官僚的な組織運営になることです。シナジーを語ることが経営を語るかのような錯覚に陥ってしまうことが多いが、シナジー効果に関する十分な把握と定量化を行ったうえで経営の意思決定を行っていく必要があります。
 

M&Aでシナジー効果を高める4つの方法

M&Aによってシナジー効果を高める方法を4つ紹介します。

M&Aのタイミング

販売シナジーや投資シナジーは、M&Aを行ってから即座に効果が現れるわけではなく、また、商品やサービスの開発を進めても、時間の経過によって流行が変わってしまい、想定したシナジー効果が得られない場合もあります。
そのため、タイミングを間違えると、赤字が発生するリスクがあります。
したがって、M&Aにおけるシナジー効果を高めるには、M&Aを行うタイミングが重要です。シナジー効果を適切に享受するためには、商品やサービスを販売できるタイミングまで予想してスケジュールを計画する必要があります。

 

 

資産の相性

M&Aを実行しても、双方が保有している資産の相性が悪ければ、シナジー効果が低下してしまう可能性があります。
例えば、人的資産とも呼べる従業員の相性が挙げられ、企業風土や文化が極端に違うと、統合後に従業員間で摩擦が生じ、士気が下がってしまうリスクがあります。
また、M&Aでは財務リスクや法務リスクもあり、例えば貸借対照表に計上されていない簿外債務や、債務者の不履行に対して責任を負う保証債務などがあります。
そのほか、給与の未払いや有給休暇の未消化、コンプライアンス違反などにも気をつけなければなりません。
シナジー効果を発揮するには、負の資産によるリスクを最小化するために、事前調査も必要となってきます。

 

 

相手企業の知名度

知名度の低い企業と合併したとします。例えば、いくらその企業が優れたノウハウを持っていたとしても、提供される商品やサービスが広まるまで、利用者から購入してもらいづらい可能性があります。。
その点、知名度の高いブランドをM&Aによって獲得できれば、流通や市場開拓にかかる時間やコストを減らせます。
販売シナジーを高めるためには相手企業の知名度を意識したM&Aが重要になります。

 

 

定義と計画、モニタリング

シナジー効果はただM&Aを実行すれば発生するわけではありません。
シナジー効果が得られない要因として、シナジー効果を明確に定義していないことが挙げられます。
したがって、投資シナジーや販売シナジーなど、M&Aでどの種類のシナジー効果を獲得したいのかを事前に明確にしておくことが重要です。シナジー効果の定義だけでは不充分であり、デューデリジェンスの段階で、求めるシナジー効果と自社の現状における乖離を把握し、ギャップを埋めるための計画が必要になります。それにともない、投入すべきリソースも確保しなければなりません。
また、シナジー効果のモニタリングも必要です。シナジー効果の発揮に向けて実行した施策の成果を定量化し、PDCAサイクルを回していきます。

 

 

アナジー効果とは?

アナジー効果とは、事業と事業の間で生じるマイナス効果です。アナジー効果とは、シナジー効果の対義語で、マイナス効果という意味です。2つの企業の価値を50とした場合に、統合することで価値が100以上になる場合をシナジー効果とよび、価値が100以下になってしまうことをアナジー効果とよびます。
近年アナジー効果も注目されていて、その理由としては、異業種の企業を統合することにはマイナス効果があるという認識が広まっていることが挙げられます。
「ネガティブシナジー」や、「ディスシナジー」、「マイナスシナジー」などと呼ばれることもあります。

アナジー効果が生じる原因としては、各事業の方向性が異なったり、経営者同士の思想が違ったりすることなどが挙げられます。
まず、既存事業との方向性があまりに違う場合、アナジー効果が出る可能性が高く、顧客にもサプライチェーンにも、ビジネスモデルにも重複するところがなく、それぞれの利益を合計した以上の付加価値が生み出せない可能性が高まります。
また、経営者同士の意見の違いがアナジー効果を生むこともあり、M&Aを実行する場合、買収された企業の経営者は最終的には追い出されてしまう、または自ら現場を去ることが多いが、数年は経営にコミットするのが一般的です。

想定外のコストもアナジー効果の例として挙げられます。業務統合においては、システム投資やM&Aのアドバイザー費用などがかさむことが多いため、ある程度のシナジー効果を得られたとしても、それらの投資の回収に長い時間がかかることがあります。

 

 

アナジーの例

M&Aで生じやすいアナジーの例としては、コストの増加人材・顧客・取引先の離脱が挙げられます。
アナジー効果の代表的な例として人材の流出が挙げられ、M&Aを行う場合、従業員にとってはこれまでの環境が一変してしまう可能性があり、不安をぬぐう必要があります。
そのためM&Aの実行後は時間を空けずに社員とコミュニケーションを交わせる仕組みを整えることが重要です。
また、誤った情報が広がって社員の不安を増大させないように、幹部クラスの社員に適切な情報を伝達することも大切です。

 

ピュアカンパニー化

シナジーの実現は実際は簡単にうまくいかないケースが多いため、ときには異業種の買収や統合によりアナジー効果が生じることもあります。たとえば、統合によって事業に関する意思決定の速度が低下することが一般的な例です。
アナジー効果を解消する方法として、ピュアカンパニー化があります。ピュアカンパニー化とは、膨張して複雑になった企業をもとの専業企業に戻す方針です。
つまり、統合によってシナジー効果を追求するのとは反対に、コア事業に絞り込んでアナジー効果を解消するという形になります。

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