雇用保険

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雇用保険(こようほけん)とは、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図ると共に、再就職を促進するため必要な基本手当などの失業手等給付を行う公的な保険制度です。
また、失業の予防、雇用構造の改善等を図るための事業も行っています。
 

求職者給付

求職者給付とは失業した労働者(被保険者であった者)が再就職するまでの当面の生活を保障することを目的とした雇用保険の給付です。求職者給付には、基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当があります。

被保険者とは

会社などに雇用される労働者は、パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、以下の条件を満たすものは原則として被保険者となります。
1.1週間の所定労働時間が20時間以上ある者。
2.31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者。
新たに労働者として加わったものはハローワークに企業が届け出する仕組みになっており、平成29年1月1日からは、「65歳に達した日以後に新たに雇用される者」についても雇用保険の被保険者となりました。

 

基本手当

基本手当は求職者給付の代表的な給付で、離職した被保険者が生活の心配なく求職活動できるように支給されます。
一般被保険者が失業した時、以下の条件を満たした場合に支給されます。
離職によって雇用保険の被保険者資格の喪失が確認されていること。
現在、失業中であること。
離職日以前の2年間に通算して12か月以上の被保険者期間があること、だだし離職の原因が倒産・解雇による離職といった点にある場合には離職日以前の1年間に通算して6か月以上の被保険者期間

 

受給額

賃金日額に給付率を掛けたものが「基本手当日額」となり、失業1日あたりにもらえる金額となります。

 

 

技能習得手当

技能習得手当とはハローワークが開催する公共職業訓練に通う間に支給される手当です。
技能習得手当には2種類あり、公共職業訓練を受講すると給付が受けられる
受講手当と、公共職業訓練に通うため、交通機関を使用した場合に支給される通所手当があります。

 

受給額

1日の受講に対して日額500円が支給されます。1ヶ月に20日受講したとすれば、500円×20日=10,000円が支給されます。受講手当の上限額は20,000円です。
受講者が自宅から公共職業訓練等を行う施設へ通うのに、自転車、自動車、公共の交通機関等を利用する場合に支給されます。
月額で支給され、上限は42,500円です。月の途中から開講したり休みを取るなど支給対象にならない日があればその分は日割りで減額されます。支給額は移動手段や移動距離によって決まりますが、移動距離が2キロ未満の場合は支給対象となりません。

 

 

寄宿手当

公共職業訓練等を受けるために、同居している家族と別居することになった場合に支給されます。
例えば、職業訓練等を行う施設が自宅から遠いために、一時的に家族から離れて寄宿したり転居したりするケースなどです。
「同居している家族」とは、受講者によって生計を維持されている親族を指します。婚姻の届出はしていないが事実上は婚姻と同様の関係にある(事実婚)者も含みます。

受給額

寄宿手当の月額は10,700円ですが、家族のいる自宅に一時的に戻るなど、支給対象にならない日があった場合は、その分は日割りで減額されます。

 

 

傷病手当

健康保険の傷病手当金は、健康保険加入者が病気やけがで働けなくなり、以下の条件を満たした人がこれに該当します。

  1. 業務外の病気やけがで治療中であること
  2. 病気やけがで仕事ができない状態であること
  3. 4 日以上仕事を休んでいること
  4. 休んでいる期間中に給与の支払いがないこと

 

受給額

1年6か月間、給与の額の約3分の2相当額が健康保険から受給することができます。

 

 

 

特殊な被保険者

特定受給資格者

特定受給資格者とは雇用保険の失業等給付の受給条件や受給額について特別な扱いを受ける資格者です。
勤務先の倒産や解雇などにより再就職先を探す時間も与えられないまま離職を余儀なくされた人や、賃金が85%未満に低下したために離職した人など、会社を辞めざるを得なくなった人が該当します。
基本的に特定受給資格者は自主退職者などの一般の受給資格者に比べて基本手当の受給日数が長くなります。
 

特定理由離職者

特定理由離職者とは期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者やハローワークが「正当な理由」と認定した理由により自己都合で離職した人が該当します。
特定理由離職者は退職時の年齢と被保険者期間に応じて90~330日間の給付が受けられます。
 

短期雇用特例被保険者

短期雇用特例被保険者とは、一定の時期が来たら辞めることが最初からわかっている仕事をしている方、1年未満の短い雇用で職場を転々とし、かつ雇用保険に入っている人が該当します。
また一定の条件があり、①4か月以内の期間を定めて雇用される者、②1週間の所定労働時間が30時間未満である者、
または①1年未満の雇用契約を繰り返している(異なる会社)、②これからも1年未満の雇用契約を繰り返す予定の者が短期雇用特例被保険者となります。
 

日雇労働保険者

日雇労働保険者とは、「日によって異なる会社で働く」「短期間の仕事を続けていく」という働き方をしている方の中で、以下に該当する人が該当します。
・日々雇用される者
・30日以内の期間を定めて雇用される者。
 

高年齢継続被保険者

高年齢継続被保険者とは同一の事業主が展開している事業に、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後も雇用されている人が該当します。
しかし、短期雇用特例被保険者と日雇い労働保険者に該当する者は除かれます。
 

雇用継続給付

雇用継続給付とは高年齢者や育児・介護休業中の人々の職業継続を支援するために設けられた制度です。
雇用継続給付には育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢者を対象とした高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金などがあり、高年齢者を対象としたものは厳密には高年齢雇用継続給付といいます。

 

育児休業給付

育児休業給付は一般被保険者が基本的に1歳または1歳2か月未満の子を養育するために育児休暇を取得した場合に支給される給付金です。
育児休業給付は少子化や女性の社会進出に対応するため、育児休業後の社会復帰を支援することを目的として制度化されました。

 

受給額

育児休業給付金の支給額は支給対象期間1か月あたり、休業開始時賃金日額×支給日数の40%、初期は50%を受け取ることができます。

 

 

介護休業給付

介護休業とは病気やケガなどにより、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を介護するために、事業主に申し出て休業することです。
介護休業を取得した労働者に対して会社から80%未満の賃金しか支払われない場合に、減額された賃金を補填するためにこれが支払われます。

 

受給額

原則として休業開始時賃金日額×支給日数の40%が支給されます。
ただし、給与の支給単位期間における就業している日数が10日以下でなければ支給されません。

 

 

高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金とは、雇用保険の被保険者の60歳以降の賃金が60歳児の賃金よりも大幅に低下したときに支給される給付金です。高年齢者雇用安定法により、60歳を超えてからの継続雇用が求められていますが、高齢による労働力の低下などにより60歳以前を比較し賃金が低下することがあります。
そこで60歳以後賃金が75%未満にまで低下した場合は高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。

 

受給額

支給額はまず、60歳に到達した日を離職の日と見なして賃金日数に相当する「みなし賃金日額」を算出、新しい賃金がみなし賃金日額に30を掛けた額の61%未満のとき、実際に支払われた新しい賃金の15%が支給されます。
新しい賃金が61~75%の間の場合は、その率によりだんだん減り、75%以上の場合は受給することができません。

 

 

高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金とは、雇用継続給付の一つで、早期に再就職した高年齢者に支給される給付金です。
雇用保険の基本手当を受給していた60歳以上65歳未満の受給資格者が、基本手当の支給日数を100日以上残して再就職した場合に受給することができます。

 

受給額

まず各月の賃金の低下率を計算し、低下率が61%以下の場合は『支給額 = 支給対象の月に支払われた賃金額 × 15%』、
低下率が61%より大きく75%未満の場合は『支給額 = (-183 ÷ 280 × 支給対象の月に支払われた賃金額)+(137.25 ÷ 280 × 賃金月額』となります。

 

 

 

その他の給付・助成金

就職促進給付

就職促進給付とは失業した労働者が再就職しやすいよう援助することを目的とした雇用保険の給付です。
就職促進給付の種類には、就業手当、再就職手当、常用就職支度手当、就業促進定着手当の4つがあります。
就業手当とは、雇用保険の失業等給付を受給中の人が短期間の就業、就労をしたときに支給される手当です。
再就職手当とは、失業した一般被保険者で基本手当の受給資格のある人に、早期に一年以上勤務することが確実と見込まれる会社に就職した場合に支給される手当です。
常用就職支度手当とは、45歳以上の中高年齢者や障がい者など一般に就職が困難な人が再就職した場合に支給される手当です。

 

受給額

就業手当…原則として、基本手当は収入がある日には支給されませんが、就業手当はアルバイトなどによる収入があった日であっても支給されます。就業手当の支給額は基本手当日額の30%です。
再就職手当…基本手当の支給残日数が2/3以上残っている場合、所定給付日数の支給残日数 × 70% × 基本手当日額、基本手当の支給残日数が2/3以上残っていない場合は所定給付日数の支給残日数 × 60% × 基本手当日額。
就業促進定着手当…再就職手当を受けた人が、その後6ヶ月以上同じ職場で雇用され続けた場合、その職場での6ヶ月の間に支払われた賃金の1日分の賃金が前職の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低い場合、低下した分の賃金が6ヶ月分支給されます。
常用就職支度手当…通常の受給資格者の場合、基本手当日額 × 45~90日 × 40%、高年齢受給資格者や日雇受給資格者などの場合、基本手当日額 × 90日 × 40%

 

 

教育訓練給付

教育訓練給付とは失業者の能力開発を支援する制度です。就職するために必要な特殊技術や外国語の習得、または資格の取得などを国で支援している制度です

受給額

受講のために受講者本人が教育訓練施設に対して支払った経費の20%を受給することができます。
しかし、経費の総額が4000円以下の場合は受給することができません。

 

 

 

日雇労働求職者給付

日雇労働求職者給付とは、日雇い労働者が失業した場合に支給される給付金のことです。
雇用保険の一般被保険者とは異なり、「日々雇用される者」「30日以内の期間を定めて雇用される者」は日雇い労働者に分類され、その人が雇用保険に加入した時に『日雇い労働被保険者』となります。
雇用保険の一般被保険者が失業した場合、被保険者として12か月以上加入していることが失業保険の給付条件となりますが、日雇労働被保険者の場合はそれには該当しないため、前2か月または前6か月の就労状況により給付されます。
また、日雇労働被保険者は、就労の日ごとに印紙保険料を納付しなければなりません。

 

受給額

第一級印紙保険料が24日分以上納付されている場合→日額7,500円
第一級印紙保険料及び第2級印紙保険料が合計して24日分以上納付されているとき、または第1級、第2級、第3級印紙保険料の順に選んだ24日分の印紙保険料の平均額が第2級印紙保険料の日額以上である場合→日額6,200円
上記以外の場合→4,100円

 

 

高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金とは、高年齢継続被保険者に支給される雇用保険の求職者給付の一つです。
高年齢継続被保険者が離職の日以前に被保険者期間が通算6か月以上ある場合に支給されます。
一般の被保険者は所定の給付日数を上限に、失業している日について基本手当が支給されますが、高年齢求職者給付金は1回限りの給付金です。

 

受給額

被保険者期間が1年未満の場合は基本手当30日分、1年以上の場合は50日分を受給することができます。

 

 

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済上の理由による企業収益の悪化により、事業活動の縮小を迫られた事業主が、従業員を一時的に休業、教育訓練または出向についての手当や賃金等の一部を助成する制度です。

 

受給額

中小企業ならば一日当たりの賃金の3分の2、中小企業以外ならば2分の1が支給されます。しかし、1人1日あたり8,250円を上限となっておりこれを超えて受給することはできません。
また、教育訓練を実施したときの加算額は一人当たり1200円となります。
また受給することのできる期間ですが、休業・教育訓練の場合には初日から1年間最大100日分、3年間最大150日分受給することができ、出向の場合は最長1年の出向期間中受給できるとあります。

 

 

中小企業緊急雇用安定助成金

中小企業緊急雇用安定助成金とは、中小企業が業績悪化などの理由により労働者を休業させた場合などに、休業手当の一部を助成する制度です。景気の変動により、中小企業は事業活動を縮小せざるを得ない状態で、労働者を解雇せずに休業させることで急場をしのぐことがあり、労働者を会社都合で休業させた場合には、労働者に平均賃金の60%以上を支給しなければなりませんが、それは企業にとっては大きな負担となるため、一定の要件がそろった場合には休業手当の一部が助成されます。

 

受給額

中小企業については、同じような助成を行う制度でより保護の厚い中小企業緊急雇用安定助成金を受給することができ、基本的には休業手当の5分の4、要件を満たした場合は10分の9が助成されます。
なお、これはまた、労働者の教育訓練を行った場合にも受給することができます。

 

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