顧客ロイヤルティとは、購買金額や顧客ランクに応じたポイントを付与したり、サービスを提供したりすることで顧客の囲い込みを行い、継続利用を促進する収益モデルです。
「loyalty(ロイヤルティ)」とは、忠義・忠誠・忠実・愛国心などの意味を持つ言葉です。
顧客ロイヤルティを直訳すると 「顧客の忠誠心」となります。
顧客ロイヤルティを上げる方法は様々存在しますが、この記事では心理的に一番簡単に効果を実感することができるポイントやマイレージに重点を置きながら解説していきます。
この収益モデルの代表例は航空会社のマイレージサービスなどがあります。アメリカン航空は世界の航空会社に先駆けて1981年に「アドバンテージ」と呼ばれるサービスを開始しました。顧客の渡航距離に応じて「マイル」と呼ばれるポイントを付与し、一定マイルが貯まると航空券に交換できるほか、パッケージ旅行やホテルの宿泊券など、多様な特典として顧客に還元されます。きっかけは業績の低迷を回避するためでしたが、マイレージサービスにより会員獲得に成功しリピート利用の促進に成功しました。
ポイント付与サービスは、顧客の囲い込みを行う上で効果が高いことがわかっています。特に、直接的に料金を割り引くことが出来ない業種においては有効的です。
また、「ポイントの有効活用アドバイス」といった形で企業側から顧客側へコミュニケーションをできる点も、長期的な関係を築く上で重要となります。単に割引の代替としてポイント付与・交換を行うのではなく、企業が顧客のニーズを汲み取ってサービス向上を行う活動が顧客のロイヤルティを醸成する大きなポイントとなります。
目次
顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い
顧客ロイヤルティとは、商品やサービス、その企業に対する忠誠心を指します。顧客ロイヤルティの高い人は、自らが購入し使うだけでなく、知人や友人などに積極的に商品やサービスを紹介したり、SNSなどで拡散する顧客も存在します。
この顧客ロイヤルティによく似た言葉に顧客満足度がありますが、顧客満足度は1980年代から使われ始めた概念で、数値ではなく顧客の満足感を表現したものであり、具体的にはアンケート形式で顧客満足度を調査します。
しかし、顧客満足度の高い人が、必ずしも今後も継続的に商品を購入してくれる方とは限らないことが判明しています。
顧客満足度と顧客ロイヤルティの大きな違いは、シンプルに商品の魅力に満足しただけか、積極的にリピーターとなり、商品の評判を広めてくれるかの違いを指します。
顧客ロイヤルティが低下する原因は、顧客が持つ、企業や商品に対するストレスや偽装などによる信頼失墜などがあり、顧客ロイヤルティが上昇すると評判も上がり、総合での売上向上に繋がる可能性があります。
顧客ロイヤルティを上げるためには、顧客の声に耳を傾ける必要があり、積極的にポジティブな評判を拡散してくれる顧客がいると、広告以外のシナジー効果も期待することができます。
顧客ロイヤリティの概念が生まれた背景
新規顧客から売上を得る場合、同じ売上を既存顧客から得る場合の5倍のコストがかかるとされており、マーケティングの世界ではこの現象を「1:5の法則」と呼びます。現在では、人口の減少と市場の成熟・飽和により、企業・ブランドが新規顧客を獲得するためのコストはさらに増大しつつあり、このような背景から既存顧客の重要性は高まり、中でもロイヤリティの高い顧客、つまりロイヤルカスタマーを増やすことは企業にとっての命題と言えます。
既存顧客重視という観点から、顧客と企業との関係を重視する考え方には「CRM」や「顧客満足度」というものがありましたが、しかし、企業と顧客との関係について深堀りしてゆくと、従来の「CRM」の考え方や顧客満足度の計測では、企業収益の向上には不十分であるということが判明しています。
そのため、中長期的な企業収益の向上を考えた場合、顧客が企業・ブランドとの関係をどの程度重視しているかを把握し、顧客ロイヤリティを高めていくことが必要となります。
顧客ロイヤルティが重要視される理由
顧客ロイヤルティは、顧客の購入頻度、購入単価、口コミの数に大きな影響を及ぼします。
顧客ロイヤルティの高低で対象者を分け、あるECサイトを1年間に利用した回数を調べたところ、顧客ロイヤルティが高い人は利用回数が約17回近くであったのに対し、顧客ロイヤリティが低い人は約9回しか利用していないということが判明しました。
また、アパレルブランドにおける1回あたりの支払い額を調査した結果においても、顧客ロイヤルティが高い人は顧客ロイヤルティが低い人の1.3倍の金額を支払っていることが判明しました。これらの調査結果から、顧客ロイヤルティが高い顧客はその企業の商品やサービスを好んで選ぶ傾向があり、また、1回あたりの購入単価も高くなることが判明しています。
他にも、スポーツメーカーにおける調査では、顧客ロイヤルティの高かった者の85%は友人や家族などにその商品を紹介しているという調査結果も出ており、口コミは企業イメージや売上に大きな影響を及ぼします。
商品やサービスに不満をもった顧客の中にはマイナス評価を投稿する人も存在しますが、反対に企業にプラスのイメージをもつ顧客は良い評価を広めてくれる可能性が高いことも事実です。そのような高評価によって、新規顧客の獲得も可能となります。
これらの調査結果から、顧客ロイヤルティを高めることが企業経営において非常に重要な点だということが分かります。
顧客ロイヤルティを計測する方法
顧客ロイヤルティを測定する際は、以下のような指標を用います。
NPS
顧客ロイヤルティを計測する最も有効的な方法として「NPS」という指標が用いられています。NPSとは「Net Promoter Score」を略したもので、2003年にフレドリック・F・ライクヘルド氏が発表してから、グーグルやアップルをはじめとするさまざまな企業で利用されています。
NPSでは、商品やサービスを紹介したいかと思うかどうかを顧客に0~10点で評価する方式を採用しています。回答者の中で6点以下の点数をつけた人を「批判者」、7もしくは8点をつけた人を「中立者」、9もしくは10点をつけた人を「推奨者」に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSとして算出されます。
例えば、ある商品に対しての「推奨者」の割合が70%、「批判者」の割合が20%であった場合は、70%-20%の50%がNPSです。高得点をつけた人が多くなるか、低得点をつけた人が減るほど数値が上がる仕組みとなっています。
NPSを導入するメリットは、計測方法が簡単なことや結果の信頼性が高いことがメリットとなります。さらに、多くの企業もNPSを導入しているため、他社との比較が容易にできる点も魅力的です。
しかし、デメリットとしては、数値が高いからといって必ずしも利益に直結するわけではないことがデメリットとなります。
顧客満足度
顧客満足度は顧客ロイヤルティを計測する際の代表的な指標となります「利用や取引時の評価で継続性がない」「商品やサービスに対する評価で愛着や信頼ではない」といった考え方もありますが、商品や顧客接点におけるサービスに対する満足度が高ければ高いほど、顧客ロイヤルティが高いと判断することができます。
継続利用意向
継続利用意向とは「今後も特定の企業の商品やサービスを利用し続ける」という顧客が持つ心理的な意思です。これも顧客ロイヤルティを計測する指標となります。その際に、感情面での顧客ロイヤルティを伴っているかを確認することが重要となります。
LTV(ライフタイムバリュー)
ある企業と顧客との取引・利用開始~終了までの間に、顧客がその企業にもたらす価値を表すLTV(ライフタイムバリュー)も、顧客ロイヤルティの指標として利用することができます。特に行動面(利用期間や頻度、金額など)を把握することに有効的です。
これまでに紹介した指標ごとに特徴はありますが、重要なのは業績との相関であり、顧客ロイヤリティの向上は業績向上のために目指すものであるため、指標が業績と連動しなければ全く効果のない努力となります。どの指標が顧客ロイヤルティの計測に適しているのかは業界により異なりますが、現在最も汎用的で業績との相関も高く有効的とされている指標はNPS(Net Promoter Score)=顧客推奨度です。
2種類のロイヤルティの種類
1.心理的なロイヤルティ
心理的なロイヤルティとは、企業や企業が提供する商品・サービスなどに対する愛情や信頼といった顧客が持っているプラスの印象を意味します。心理面では、顧客の購買意欲など実際の行動にも影響を与えるので、可能な限りネガティブな印象を抱かせないように注意を払わなければいけません。
また、ネガティブな印象が発生していることが判明した場合は、プラスの印象に変化させるようにアプローチする必要があります。
2.行動面のロイヤルティ
行動面のロイヤルティとは、実際の消費者行動を指します。商品やサービスを繰り返し購入する行動や、友人や知人などにそれらの商品やサービスを紹介する行動がこれに該当します。
行動面のロイヤルティが高くなると、商品やサービスを継続的に購入してもらえるだけでなく、ポジティブな評判を広めてもらえる可能性も高くなります。そのためには、心理的なロイヤルティを高めることも重要なポイントになります。
2つのロイヤルティから反映される4つのタイプ
2つのロイヤルティの組み合わせによって、消費者タイプは4つ分けられます。
A. 行動面ロイヤルティ、心理面ロイヤルティが共に高い
総合的なロイヤルティが最も高く、企業やブランドにとって最重要顧客となる層がこのタイプに該当します。
B. 行動面ロイヤルティは高いが、心理面ロイヤルティは低い
例えば「家から最も近いスーパーマケットをよく利用する」ことをイメージしてください。そのスーパーに対する愛着は特にありませんが、家から一番近いという理由で毎日買い物をするといった場合があります。この場合、このスーパーに対して好意的な評価や口コミはそれほどありません。おそらく、家にもっと近い場所に別のスーパーができれば、そのスーパーで買い物する習慣ができるでしょう。
C. 行動面ロイヤルティは低いが、心理面ロイヤルティは高い
「憧れるているが、買えない」という商品、例えばポルシェやロールスロイスなどの高級外車や、グッチなどのハイブランドのファッションなどを商品は心理面ロイヤルティが高くても行動面ロイヤルティが低くなってしまいます。それらの商品やブランドに強い愛着はあるけれど、様々な理由によって購入や利用が現実には難しい顧客層がこのタイプに該当します。
D. 行動面ロイヤルティ、心理面ロイヤルティが共に低い
このタイプの人々は、商品やサービス自体を認知していなかったり、関心がなかったりする人々です。あるいは競合他社の商品にロイヤルティを感じている、または自社の商品・サービスへの関与度が最も低い層がこのタイプに該当します。
この4つのタイプに分類することで、費用対効果が高く見込める顧客層へ効率的にアプローチすることができます。
顧客ロイヤルティを向上させる方法
定量的な調査を実施して顧客の意見を把握する
効果的かつ効率的な顧客ロイヤリティの向上を維持するには、顧客心理を数値化しながら、データとして定量的に把握・分析する必要があります。分析することによって、顧客がなぜ、どこに愛着や信頼を感じているのかも把握でき、とるべき対策も明らかになります。
より正確に情報を把握するためには、アンケートによってNPSをはじめとしたさまざまな指標を多角的に収集しながら、それらをもとに顧客リストを作ることが必要です。指標を分析することで顧客ごとに求めているものが明確になり、誰が顧客リストを見ても、等しく顧客に合わせたアプローチが可能になります。
個別なアプローチによる印象アップだけでなく企業全体に対する顧客ロイヤリティを向上させるには、NPSをもとに顧客をセグメント化し、推奨者を増やす、批判者を減らすといった対策を実施することが重要です。推奨者は商品やサービス、企業のどこに魅力を感じているのか、または批判者は何を不満に思っているのかを総合的に分析し、それぞれに焦点を合わせた対策を実施する必要があります。
カスタマーエクスペリエンスの改善
カスタマーエクスペリエンス指標もまた、顧客ロイヤリティ向上に関する重要な指標となります。日本語では「顧客体験価値」と訳され、顧客が商品やサービスを利用して得る一連の体験の満足度を意味しています。
NPSの改善は、顧客ロイヤリティを数値化したデータの分析によって実施します。対して、カスタマーエクスペリエンスの改善は、体験について寄せられたニーズや感想を反映させて、直接的な接客や対応を修正することで行われます。顧客ロイヤリティは顧客の感情や心理に関係するため、直接的な対応が重要であり、また、サポートや購入前のプロセスなど、直接顧客の目に触れない部分でも改善できる箇所がないかを確認する必要があります。
アプローチの工夫
業務の改善を行って顧客の不満を減らす一方で、顧客の満足度を上げる施策も重要となります。ファンとなった顧客が離れないように、顧客それぞれにパーソナライズしたアプローチを実施することが重要です。例えば、優良顧客を囲い込む会員制システムを構築しながら、会員限定のキャンペーンやポイントなど、優良顧客だけのメリットを提供することも有効的です。
また、「CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネージメント)」を利用するのもよい方法で、CRMは日本語で「顧客関係管理」などと訳され、顧客を中心に考えて利益の最大化を目指すマネジメント手法を指します。
CRMツールを導入すれば、顧客の購買状況を目視できるようになり、例えばその結果から、しばらく利用の途絶えている顧客へリピートを求めるメールとともにクーポンを添付するなど、個別のアプローチもできるようになります。
SNSの活用
企業やブランドとしてFacebookやTwitterなどのSNSにアカウントを作成し、情報発信することも顧客ロイヤリティ向上に効果があります。こちら側から発信するだけでなく、顧客とつながり顧客からの声を受け取ることもできるため、項目があらかじめ決められたアンケートからは想定していなかった顧客のニーズや潜在的な意見を得るすることもできます。
SNSはコストも必要なく簡単に導入できるうえに、多くの人が利用しており口コミ効果も高いため、積極的に活用することをおすすめします。しかし、商品やサービスのマイナスイメージもすぐに広まるので、発信内容は慎重に考える必要があります。
顧客ロイヤルティの成立条件
ポイント交換できる製品やサービスを保有していること
ポイント付与サービスによって顧客の継続利用を促す場合、貯まったポイントと交換される自社の製品やサービスが魅力的であることや、多様であることが重要です。
多様なサービスが実施可能であること
ポイント付与サービスによって「通常は入手できない製品やサービス」を提供することができれば、顧客にとっては会員を続ける価値が高まります。例えば、限定品のプレゼントや、航空会社の先行搭乗サービスが例として挙げられます。
外部企業との提携ネットワークを構築できること
自社のポイントプログラムに外部機能を引き込むには、提携相手にとってメリットになる条件や資源を提示することが必要です。例えば「巨大な顧客基盤を持っている」「富裕層に強い」などがこれに該当します。
顧客ロイヤルティのメリット
顧客の継続利用・リピート率の向上
顧客ロイヤルティが高い顧客は、愛着がある商品やサービスを継続的に、または繰り返し利用する傾向があることが判明しています。調査会社であるEmotion Tech社が、あるECサイトの年間平均利用回数を調査したところ、顧客ロイヤルティが高い顧客は約17回近く利用していたのに対して、顧客ロイヤルティの低い顧客は約9回程度しか利用していないという結果が出ています。また、会員制のサービスでは解約率にも差が出ることが判明しました。
市場が成熟し、製品やサービスそのもののスペックでは競合との差別化が難しくなってきている現代では、新製品やサービスをリリースしてもすぐに他社がトレースしてくることもしばしばあります。そのため、差別化のしづらい商品やサービスでは、顧客はわずかなきっかけで競合に乗り換えるリスクがあります。
このような背景の中で、顧客のリピート率につながるのが「その企業・ブランドが好き」という顧客の感情、つまり顧客ロイヤリティが関係してくるのです。
解約率の低下
顧客ロイヤリティが高まれば高まるほど、サブスクリプションモデルなどでのビジネスモデルの提供の解約率の低下に繋がる可能性が高まります。リピート率の上昇と同じ理由で競合への乗り換えが減少することや、他にも好きな企業・ブランドのサービスであるということ自体が利用継続の動機にもなり顧客が自社のサービスから離れにくくなります。
顧客単価の上昇
顧客ロイヤルティは、利用頻度だけではなく顧客単価にも影響を及ぼします。Emotion Tech社があるアパレルブランドについて行った調査では、顧客ロイヤルティの高い顧客は年間の購入額が約2万8,000円であり、低い人は約9,000円と3倍以上の差があるという結果が出ましたが、さらに、顧客ロイヤルティの高い顧客は1回の購入金額も顧客ロイヤルティが低い顧客の1.3倍という結果が出ました。
リピート購入による売上のほかに、企業・ブランドのファンであることでより上位の製品・サービスを選択するアップセルが実現したり、当初の利用製品やサービス以外のジャンルの製品・サービスにも興味の範囲が広がるクロスセルに繋がる場合があることも分かっています。
ポジティブな口コミで新規顧客を獲得できる
顧客ロイヤルティが高い顧客は、商品やサービスを知人や友人に紹介してくれる可能性があります。人は、自分が素晴らしいと感じた商品やサービスを他人に紹介して、同じように良い体験をしてほしいと思う心理を持っています。また、一般的に知人や友人などからの口コミは、情報として信頼性があると感じるデータもあります。SNSや口コミサイト上での評判がたくさんの人を動かす現代では、ロイヤルティの高い顧客が新たな顧客を呼び込む可能性が高くなっており、これもとても重要なメリットと言えるでしょう。
売上高の8割を優良顧客の2割が占めるというマーケティングの法則(パレートの法則)があるように、一部の優良顧客の購入が企業を支えている場合は多く存在し、優良顧客が持っている商品やサービスへの信頼や愛着、すなわちロイヤルティをより多くの人に広げられれば、売上や利益の拡大を期待できます。
顧客ロイヤルティのデメリット
顧客が保有しているポイントは企業にとっての負債となる
顧客ロイヤルティにおいて企業側のリスクとなることは、顧客が使用していないポイントを「引当金」として保留しなければならない点です。実際に日本では、通信系企業が付与した「交換されていないポイント」の総額が1,000億円を超えたこともありました。ポイントは仮想通貨であり、「顧客から預かっているお金」であることから、それが過剰に増えると企業の資産を圧迫しかねないことに注意が必要です。そのため、ポイント付与サービスをビジネスモデルに組み込む際には「いかにして顧客にポイントを使ってもらうか」を設計することも重要になります。
顧客ロイヤルティの事例
スターバックス
アメリカのコーヒーチェーン「スターバックス」がアプリを通じて提供している「Starbucks Reward」では、購入金額に応じてスターと呼ばれるポイントを付与し、グレードに応じたサービスを顧客に提供しています。
顧客は、購入金額54円ごとに緑色のスターを獲得し、250個貯めるとゴールドのスターにランクが昇格します。このゴールドスターを一定数貯めることで、ドリンクの無料チケットが発行される仕組みです。
他にも、新商品の先行購入チケットが貰えたり、アプリからコーヒーの事前注文ができるなど、多様なサービスが提供されています。
楽天ポイント
楽天が発行している「楽天スーパーポイント」は、楽天市場や楽天トラベル、楽天カード(クレジットカード)などの利用に応じて付与されるポイントサービスです。貯めたポイントは1ポイント=1円に換算され、楽天関連のサービスの他、映画館やコンビニ、飲食店、百貨店などの外部企業でも利用できます。楽天の会員数は日本国内だけで1億人以上と言われており、提携する外部企業にとっては「規模の経済」による顧客誘導のメリットがあります。
なお、楽天スーパーポイントは、顧客にリピート購入を促す「購入回数の囲い込み」を行う上で非常に有効ですが、それだけでなく、自社が運営する楽天市場、旅行、不動産、金融などの多彩なサービスの並行利用を促す「カテゴリーの囲い込み」にも有効です。顧客は、楽天が運営するさまざまなサービスを複数回利用すると多くのポイントを獲得することができるため、より楽天のサービス群での行動に参加するようになります。
このようにして楽天は、顧客ロイヤルティの醸成・向上と楽天サービス群での活動を強固に連動させることに成功しています。