ビジネスモデル

シェアリングエコノミー

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シェアリングエコノミーとは、使われていない物や労働力を、時限的に市場に出して共有するサービスや社会のことです。
そもそも「シェア」には2つの意味があります。
1つ目の意味は「モノを個人間でシェアする」という意味です。カーシェアや衣料品のシェアサービスなどはこの意味に含まれます。
2つ目の意味は「労働力をシェアする」という意味です。企業の利用が進むクラウドソーシングは、仕事を発注したい企業と受注したい個人とをマッチングさせるサービスですが、これは個人が複数の企業のために働くことによって実現しているため、企業側から見ると「労働力がシェアされている」と言えます。

 

 

シェアリングエコノミーの歴史

シェアリングエコノミーは2008~2009年頃に始まったとされています。この時期にSNSの利用が一段落し、ネットサービスの利用において実名主義が普及しました。また、本人確認技術の向上や位置情報サービスの発展、高速通信技術の普及もあり、いつでもどこでも、個人間で必要なものを共有できる環境が整いました。加えてクラウドサービスが普及したこともあり、シェアリング・ビジネスを始めようとするベンチャー企業でも、システムのキャパシティ拡大が容易になりました。
このような背景もあり、現在シェアリングエコノミーは、私たちの生活を活性化させています。
シェアリングエコノミーのルーツには、1990年代に生まれた「ネットオークション」や2000年代に広がった「クラウドソーシング」があります。
 

シェアリングエコノミーが普及した背景

シェアリングエコノミーが拡大している理由としては、インターネット・スマートフォンの普及や決済方法の進歩などの技術的な面、そして価値観の変化が挙げられます。

インターネットやスマートフォンの普及

まず最初に、インターネットが普及し、スマートフォンのインターネットへの接続が高速化されたことがの理由の一つに挙げられます。
スマートフォンの普及によって、ユーザーはいつでもどこでもシェアリング・サービスを利用することが可能になりました。
TwitterやFacebookといったソーシャルメディアの登場によって個人間のやり取りが簡単に行えるようになり、情報交換・収集を行うことも簡単になりました。
また、サービスを提供する側は特別なシステムなどを使用することなく、スマートフォン上ですべての手続きを完結させることによって、ユーザーや必要な情報を管理しやすくなっています。
 

決済方法の発展

次に、決済方法が進化し、オンライン上で料金の回収がしやすくなったことも、シェアリングエコノミーの普及に貢献していると言えます。
オンライン上で決済できるシステムが構築され、常に発生する報酬のやり取りがスムーズに行えることによって、人材が不要になり、コストを抑えた運用や頻繁な貸出や返却に対応できるようになりました。
さらに、個人間取引においては代金を支払ったのにサービスが履行されないことや、また、サービスが提供されたのに支払いが行われないといったリスクがありましたが、シェアリングの仲介サービスを利用できることでそうしたリスクがほぼ無くなりました。
 

価値観の変化

最後に、現在の人々の価値観の変化も、シェアリングエコノミーが普及した理由の一つとされています。従来までは、新築の住まいや新品を購入することに価値を感じていた時代もありましたが、現在では中古マンションの購入も増加しており、必ずしも新しいものを購入して所有・占有することにこだわらない人々が増えているという背景があります。
また、社会貢献意識の上昇もシェアリングエコノミーの拡大に影響しているとされています。日本政府の「社会意識に関する世論調査」のアンケートの結果では、「社会のために役に立ちたいと思っている」と回答した人が約6割を超えていることが判明しています。フリーマケットサービスにおける商品の出品理由について「捨てるのがもったいない」とする人が多く存在しており、環境に配慮する、SDGsといった考えの広まりもシェアリングエコノミーを浸透させていっていると言えます。

 

 

モノ・労働力のシェアの仲介

シェアリングの代表例には、民泊(宿泊施設を個人間で貸し借りすること)の市場を開拓したアメリカの企業「Airbnb」があります。Airbnbは「部屋を貸したい個人」と「部屋を借りたい個人」をつなぐ仲介役としてサービスを展開しています。他にもライドシェア(一般人のドライバーが空き時間を使って、自家用車で乗客を運ぶサービス)を仲介する「Uber」や「Lyft」もシェアリングの代表例です。
これらのビジネスはすべて、上記で説明した「モノの個人間シェア」や「労働力のシェア」という側面を持っています。例えば、民泊では空室や物件という「モノ」がシェアされ、ライドシェアでは自家用車という「モノ」がシェアされます。また、UberやLyftなどのライドシェアでは運転手の労働力がシェアされていると言えます。
このように、シェアリングエコノミーでは、使われていない資産や個人の能力を一時的に市場に出して、個人間でマッチングさせるという側面を持っています。
 

シェアリングエコノミーの5つの分野

シェアリングエコノミーの分野は、「モノ」「スペース」「スキル」「お金」「移動」の5つに分類されます。

モノ

モノの分野では、不要となった衣類や家具などを交換したり、自由に値段を設定したりして、不要となったモノを他の人にシェアします。衣類はフリーマケットアプリでの取り扱いが多く、売ることを前提とした行動をとる消費者も増加しています。
代表的なサービスには、日本の大手フリーマーケットサービスの「メルカリ」や楽天グループが日本で運営する「ラクマ」、中古品の無料譲渡から運搬代行まで幅広いジャンルを扱う同じく日本企業の「ジモティー」などが挙げられます。
 

スペース

スペースの分野では、空きのある駐車場や空室、宿泊場所といった、常時使用していない場所の貸し借り(シェア)を行います。CtoC(個人間取引)だけでなく、会議室やコワーキングスペースなど事業者によるサービスも増加しています。
代表的なサービスには、世界的な宿泊場所のシェアリング・ビジネスの先駆者であるアメリカ企業の「Airbnb」や、日本国内で人気の高い「軒先パーキング」、商品PRに適したスペースを探せる「SHOPCOUNTER」「スペースマーケット」などが例として挙げられます。
 

スキル

スキルの分野では、クラウド・ソーシングのような自分が培ってきたスキルや経験を活かして、労働力をシェアするサービスが当てはまります。クラウド・ソーシングでは、イラスト・英会話・作曲・ライティングから、業務改善やマーケティングといったスキルまで幅広くカテゴリーの仕事があります。
代表的なサービスには、日本の大手スキルマーケットの「ココナラ」や、同じく日本で展開している家事を代行する「タスカジ」、企業研修用のスキルを提供する「Oncy」などが例として挙げられます。
 

お金

お金の分野においてはクラウドファンディングが該当し、プロジェクトを立案してサイト上に掲載し、個人から資金調達ができます。クラウドファンディングでは、銀行が融資しないようなプロジェクトであっても、内容次第では1千万円を超える支援が集まることもしばしばあります。
クラウドファンディングは「寄付型」「投資型」「購入型」の3つに大きく分類されるのが特徴で、代表的なサービスには、日本初のクラウドファンディングサービスである「READYFOR」、不動産に特化した「クラウドリアルティ」、物品や体験を購入する「Makuake」が例として挙げられます。
 

移動

移動という分野においては「ライドシェアリング」が代表的で、自家用車・タクシー・自転車などのモノのシェアとドライバーの労働力のシェアが行われます。ライドシェアは移動手段の維持コストを削減できるメリットのほか、過疎地の移動手段、環境に配慮した移動手段としてのサイクルシェアといった活用も進んでいます。
代表的なサービスには、アメリカの配車サービスである「Uber」や、日本企業で長距離移動の相乗りに適した「notteco(のってこ)」、同じく個人所有の自動車をシェアする日本発のサービス「Anyca」などが例として挙げられます。

 

 

シェアリングエコノミーの成立条件

資産や労働力の需給バランスが崩れていること

シェアリングエコノミーは、使われていない資産や個人の能力を個人間でマッチングさせる社会です。ここでマッチングされやすいのは、市場において需給バランスが崩れている資産や労働力です。
例えば、人気観光地ではホテルの予約が難しかったり、通常のホテル予約サイトでは個人の趣味に合った非日常的な宿を探すことが難しい場合があります。また、都市部では駐車場の確保が難しいという問題もあります。だからこそAirbnbのようなビジネスが成立します。あるいは、UberやLyftなどの場合、都市部では「乗りたいときにタクシーを確保しづらい」という問題があるからこそライドシェアというサービスが成り立ちます。
また、単純にユーザー側が「欲しい」と考える資産や労働力を扱えばサービスが成立するということではなく、その資産や労働力を提供できる人が市場に存在することが重要です。
 

マッチングさせるための技術や仕組みが重要

シェアリング・ビジネスのほとんどはスマートフォンのアプリを活用したサービスです。適切なタイミングで個人間のシェアを実現するためには、位置情報技術や本人確認・認証技術、セキュリティ技術の活用が必要となります。
実際、UberやLyftの利用には位置情報技術が活用されています。また、Airbnbでは身分証明書類の提出が求められることがあります。

 

 

信頼性や信用性を担保するための仕組みが必要

シェアリングが本人確認を重視していることは先に説明しましたが、これは信頼性や信用性の担保という観点で、シェアリングビジネスの重要な成立要件となります。信頼性とは、供給者・利用者の能力を事前に品質保証できるか否かに関する問題です。例えばAirbnbでは、宿泊した部屋の様子やホストの対応などを、利用者が評価できる仕組みを構築しています。逆に、ホストもゲストの様子を評価できます。
また、信用性とは、悪意ある人がサービスに入り込んでくる可能性のことです。例えば民泊では、最初から犯罪目的で部屋を借りる人がいるかもしれません。また、駐車場を利用する人の中には乱暴な入出庫をする人がいるかもしれませんし、車両を放置したり、1つの駐車スペースだけを借りて不正に複数台を注射したりする人がいるかもしれません。
シェアリング・ビジネスではこういった信頼性や信用性の問題を担保するために、評価制度の運用や本人確認、登録の際の事前調査などを厳格に行う必要があります。
 

 

シェアリングエコノミーのメリット

提供者側のメリット

使われていない資産の有効活用

シェアリングエコノミーの最大のメリットの一つは、利用頻度の少ない車や土地などの使われていない資産を有効活用できることです。
例えば、個人が所有する自動車の一日の使用率は、5%未満と言われており、残り95%の、駐車場に自動車を置いている時間を貸し出すことで、その時間分の利益を得ることができ、相対的に維持コストの削減に繋がるというわけです。
また、このように使われていない資産を活用することで、購入や建設といった初期投資を必要とせずに収入を増やすことが可能です。
 

新たなビジネスを生み出せる

シェアリングエコノミーはユーザーの生活における利便性が高まるだけでなく、経済成長にも繋がっていきます。
例えば、観光地での移動手段として自転車のシェアを導入することによって新しい魅力の発掘、また、傘のシェアリングサービスで傘のごみを減らしながら利便性を維持するといったことも普通になります。
さらに、スキルや人材のシェアにおいては、家事や育児で働くことが困難な人や、時間面などの柔軟性の高い働き方を求めている人の雇用機会を創出することができます。
 

参入障壁が低い

使っていない資産を活用するシェアリングエコノミーでは初期投資が抑えられる面で、参入障壁が低くなります。
すでに保有しているモノやスペース、自分の労働力をシェアする場合は、新たな仕入や設備投資は必要ありません。提供者とユーザーのマッチングを行っているプラットフォームも多数あるため、それらを借るようすることで簡単に参入することが可能となります。
 

ユーザー側のメリット

余分なモノを所有する必要がない

ユーザー側の最大のメリットは、自分でモノを所有する必要がないことです。自家用車がない・運転免許を持っていない人は配車サービスを利用してタクシーの代わりに送迎してもらったり、プロジェクトに必要な人員は外注して労働力を得たりと、手軽にモノや労働力を得ることができます。
余分なモノや労働力にかけるコストや時間を削減して、自分のするべきことに集中できるようになるため、生産性の向上にも繋がるはずです。
 

必要な時だけ利用できる

シェアリングエコノミーが普及した社会では、必要な時に必要な分だけモノや労働力利用できるのもメリットと言えるでしょう。例えば、スマートフォンを用いることによって自分の求めているモノや労働力を提供するサービスを簡単に探せます。
また、シェアリングエコノミーにおいては一般的なレンタルサービスと比較して、モノが安価だったり短期間の利用が可能なため、手軽にシェアリング・ビジネスを利用することができます。

 

 

借主は格安で借りることができ、貸主は初期費用が安く抑えられる

シェアリングエコノミーにおいて共有されるモノや労働力は個人や企業がすでに持っているが使われていない資産です。もともと利益目的でなく保有していた資産のため、安い価格で貸し出すことができる仕組みとなっています。
さらに、貸主にとっても現在所有していて使われていない資産を貸し出すだけなので、初期費用を安く抑えることができます。また、サービスに登録するだけで利用料を得ることができる場合もあります。
 

決済が簡単

プラットフォームが仲介しているシェアリングサービスでは、ほとんどがクレジットカードなどのキャッシュレスで決済が行われます。
詳細なルールはプラットフォーム事業者によって違いますが、多くの場合では最初に購入者がクレジットカードで支払い、プラットフォーム事業者にお金が振り込まれます。その後、取引が完了したのを確認して、プラットフォーム事業者が、手数料を差し引いた金額サービスの提供者に支払われる場合が多いため、便利かつ安心して利用することができます。
 

シェアリングエコノミーのデメリット

ブランド力の低下

シェアリングエコノミーの一つの落とし穴は、上述した信頼性や信用性の問題に起因した、企業のブランド力の低下です。また、民泊では、利用者による騒音やゴミ出しルールを守らないことなどによる住環境の悪化が問題になっています。
このような市場メカニズムでは自動的には解決できない外部不経済の問題がシェアリングにはつきまといます。何か大きなトラブルが起こった場合に、適切な対応を取らなければ、一気にサービスに対する信用を失うことがあります。
 

需給バランスの安定化

もう一つのデメリットは、需給バランスの改善です。ホテルや駐車場、タクシーのように、現時点では資産や労働力のバランスが崩れているものであっても、環境の変化や事業者の努力、政策などによって需給バランスが安定した場合、シェアリング・ビジネス事態が成立しなくなる場合があります。
 

トラブルになるリスクがある

資産を貸し出す人は事業としてサービスを運営する企業ではなく、多くの場合一般の個人となります。そのためサービスのクオリティを担保することが難しいことが実態であり、借りたモノが想定していたモノと異なることや、条件の認識に相違がありトラブルになるなどの場合があります。
貸主にとっても貸したものが返却された後に破損していることを確認したり、ルールを守られずに貸した部屋などを利用されるなどのリスクが存在するため、容易にはサービスを利用できないという壁があります。
 

既存事業者がダメージを受ける

いままで説明したように、シェアリングエコノミーの大きなメリットの一つは借主が格安でモノや労働力を利用できるようになることです。つまり、シェアリング・ビジネスは既存の市場に驚異的に安い価格で参入することになるため、例えばレンタカーやコインパーキングなどの既存事業者にとってはシェアリングエコノミーは脅威になる可能性もあります。
 

法律の整備が追い付いていない

シェアリングエコノミーにおいて最も危惧されていることが、法整備が整っていないという面です。今までに無かった完全に新しい市場であることから、法律による整備が行われている場合が少ないため、グレーゾーンでのサービス提供や違法なサービスを取り締まる対応が遅れる場合や、対応自体ができない場合があります。このような状況では、既に市場が破綻する可能性も内在されています。
各国の政府がシェアリングエコノミーの法律の整備を進めようとしていますが、まだまだ市場全体に浸透するにはかなり時間がかかるでしょう。
 

シェアリングエコノミーの企業例

Airbnb

Airbnbは、宿泊のための部屋の貸し借りの仲介を行う企業です。2008年にサンフランシスコで設立された同社のウェブサイトには、2020年8月時点で、全世界の約190の国と地域において、約600万件の宿泊先が登録されています。登録宿泊先数では世界一の宿泊サービスです。ゲストが支払う宿泊費はAirbnbに振り込まれ、同社が15%程度の手数料を得た後、残りの宿泊費がホストに支払われます。
Airbnbの元々のコンセプトは「ホームシェア」であり、当初はホストが自分の家の空室をゲストに提供する個人間取引の仲介サービスとして始まりましたが、現在は、ホストが住んでいない家や宿泊用に購入された物件も登録されています。
Airbnbが市場に根付いた背景には、ホストとゲストがお互いに信用できるシステムを構築できたことがあります。ゲストは「部屋が事前の情報通りであったか」や「ホストの対応」などを評価します。一方、ホストは「ゲストの部屋の利用にあたっての行動や振る舞い」を評価します。また、総合評価やキャンセル率などの複数の条件を満たしたホストを「スーパーホスト」として認定することで、信頼性を分かりやすく表現することに努めています。
結果として、ゲストは場所や設備、価格など以外に、レビューをみて部屋を予約します。一方で、ホストは評価の低いゲストの宿泊を拒否することもできます。
加えて、同サービスを利用するには実名と住所、もしくは公的機関発行の身分証明書のいずれかによる本人確認がAirbnbによって求められる場合があり、これもホストとゲスト双方の信頼性を高める仕組みの一つになっています。
 

Uber

ライドシェアを代表するアメリカ企業「Uber」はシェアリングの代表例の一つです。まず、時間に余裕があるドライバーは、その時間と自動車を有効利用するためにUberに登録します。次に、移動したいと考えるUberのユーザーはドライバーを探します。Uberはドライバーとユーザーの位置情報などを照らし合わせて、リアルタイムでマッチングさせます。ドライバーは隙間時間で収入を得て、同時に、タクシーや公共交通機関などの移動手段が十分でないユーザーは移動の自由度が増します。そしてUberは手数料を得て収益を上げています。
Uberは世界70か国以上に展開しており、貨物輸送への応用など、さらなる発展が期待されています。特に、ライドシェアサービスの普及を見越して、トヨタとUberが提携するなど、シェアモデルは大きな動きを見せています。Uberが開発を進める自動運転技術が実現するとドライバーも不要となり、空いている自動運転車とユーザーをマッチングするサービスへと進化する可能性を持っています。
 

akippa

akippaは日本の大阪で2009年に創業されたシェアリング・ビジネスを行う企業で、月極め駐車場の未契約スペースや個人宅の秋駐車場などを1日単位で利用できるサービスを提供しています。日本の都市部では路上駐車の取り締まりが厳しく、また、駐車場を見つけることも困難です。akippaは場所によってはコインパーキングの3分の1といった低価格で利用できるため、市場シェアを伸ばしています。
akippaもAirbnb同様、利用するためにはクレジットカードによる決済や携帯電話のキャリア決済が必要となり、また、利用予約の際には車種やナンバーなどの提出が求められます。
 

拡大するシェアリングエコノミー市場

世界で広がりを見せているシェアリングエコノミーですが、その経済効果は非常に大きなものになると予想されています。イギリスの大手調査会社 「PwC」による調査では、2013年に約150億ドルだったシェアリングエコノミーの市場規模が約20年後の2025年には、約3,350億ドルまで成長すると発表されています。
日本でもAirbnbやUberといったアメリカ企業のサービスが展開された以外でも、日本企業のシェアリングエコノミーサービスの提供も浸透し始めています。
カーシェアリングにおいては、カーステーションや車両数の増加で市場規模が拡大しており、法人の利用も増えています。近年では、自動車メーカーもカーシェアリングの市場に参入しており、すでに各地に存在している販売拠点を活用できることは大きなメリットとなっています。
サイクルシェアにおいては、2017年に自転車活用推進法が施行され、地方自治体レベルでの導入が進むと予想されており、IoT化やキャッシュレス決済でより気軽に利用でき、すでに「メルカリ」や「LINE」などの企業が市場に参入してします。
民泊シェアにおいては、訪日外国人による利用も多くなっており、今後も利用者は増加すると予想されます。民泊シェアで大きなシェアを占めているAirbnbは日本で世界初のアライアンス組織「Airbnb Partners」を設立したことによって、より多くの自治体や企業との連携を推進しています。
また、シェアリングエコノミーによる社会への影響においては、従来までとは異なった働き方や移動方法を実現していくと言えます。Uberによると、Uberのドライバーは好きな時間に好きなように働くことができるため、Uberに登録しているドライバーの7割は副業で仕事をしていると発表しています。このようなUberのシステムは、単にタクシーに替わるサービスといった単純なものではなく、人の働き方や移動手段を革新しています。他のシェアリングエコノミーの市場においても、シンプルなサービスの置き換えではなく、全体のシステムを変えるシステムになっていることを考えると、これからさらにシェアリングエコノミーが拡大する可能性があります。

 

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