情報技術・IT

デジタル化

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デジタル化とは、ITやWeb技術などのデジタル関連技術や手法を活用することで、旧来のビジネスが変化することを意味します。
デジタル化の「アナログをデジタルへ変える」という意味は、従来アナログで行っていた業務をデジタルを利用して行えるように変化させるというもので、多くの人がイメージしやすいでしょう。
従来までは紙媒体を用いて行っていた請求書や契約書などをデジタル化してデータ化することで、ビジネスシーンにおける紙の使用量を減らす「ペーパーレス化」もデジタル化に該当します。
また、Webカメラなどを用いることで、従来までは対面でおこなっていた会議や商談などをオンライン上でおこなう「Web会議」や「オンライン商談」などもデジタル化に含まれます。この意味でのデジタル化は「デジタイゼーション」とも呼ばれており、さらに一歩進んだ段階にある「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉もあります。
スイスにあるビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授は、デジタル化による破壊的イノベーションを「デジタル・ボルテックス(渦)」というコンセプトで論じています。この渦は、今や全世界のあらゆる市場をのみこんでいます。

 

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)との違い

デジタルトランスフォーメーションとは、テクノロジーの力によって、ビジネスの仕組みや経営を再構築することです。略して「DX(Digital Transformation の略)」と言われています。
代表例として挙げられるのはライドシェアサービスのUBERで、UBER自身は車も運転手も所有していませんが、車を運転するドライバーと移動手段を求めるユーザーを仲介し、その対価として手数料を得るというビジネスモデルを採用しています。従来のタクシーとは異なる利便性を提供することで利用者を増やしており、UBERは単純にタクシーを呼ぶ仕組みをデジタル化したわけではなく、IT技術で新しいビジネスの仕組みを開発しました。このように新しい技術(特にクラウド、ソーシャル、ビッグデータ、モバイル)を十分に活用して、新しいビジネスモデルや革新的なサービスを創出して競争力を獲得することを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といいます。
ビジネスにおけるDXとは、デジタル化からさらに一歩進み「事業においてテクノロジーを活用、変化を起こしてより大きな利益を生み出す経営戦略や業界の仕組みを再構築すること」を意味します。
例えば、スマートフォンアプリの位置情報を利用したタクシーと乗客のマッチングサービスは、DXに含まれます。従来は道路でタクシーを拾っての移動が一般的でしたが、UBERのようなサービスが生まれたことで、業界に大きな革新が起こりました。
このように、DXは、関連する業界や人々の生活にまで大きな変化を与えるものあり、DXはデジタル化と混同されがちですが、これらは順序立てて実現を図るべき異なる仕組みです。具体的には、デジタル化はDXの前段階に該当しmデジタル化の実現後に、初めてDXが可能になります。DXの推進を検討する企業は、先にデジタル化を事業において取り組むことが求められます。
 

デジタル化が求められる理由

企業のデジタルトランスフォーメーションの実現は、日本経済産業省からも推奨されており、その実現が急がれています。
なぜ国を挙げてデジタルトランスフォーメーションが進められようとしているのか?
その理由は、「2025年の崖」という問題が理由の一つに挙げられます。「2025年の崖」問題とは、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを改善できなかった場合に、2025年以降の国の経済的損失が多大なものになるという日本政府のレポートにより指摘されている問題です。
従来までの古い既存システムを最新のデジタル技術へと変革するデジタルトランスフォーメーションの実施を推進することは、「2025年の崖」問題の回避に効果的と言われています。もしも、デジタルトランスフォーメーションの実施が推進されない場合は、「2025年の崖」問題は避けられず、2025年以降、日本国内で年間最大12兆円(現在の約3倍)もの経済損失が生じるリスクが生まれる可能性があると専門家によって指摘されています。
このように将来的な日本経済の損失を防ぐため、また、日本企業のグローバルな競争力を維持するためには、デジタルトランスフォーメーションの実施の推進が重要な課題となっています。
 

デジタル化への対応の意識は業種によって差がある

デジタル化を推進するなどの対応の意識は、業種によって大きく異なっているというデータがあります。積極的にデジタル技術を取り入れデジタル化を目指す企業も、従来のやり方のままアナログで業務を進めている企業も存在しています。
一般社団法人日本システム・ユーザー協会の調査によると、「建築・土木」「社会インフラ」の2つの業種の企業がデジタル化を積極的に実施している、または積極的にデジタル化を行う意識があるという調査結果が発表されています。
一部の業種が積極的にデジタル化を推進していますが、現在でも多くの業種では、デジタル化の推進もデジタル化に対する理解も不十分であることが実態であり、デジタル化に積極的でない企業がデジタル化に積極的である企業と対立し、日本企業のデジタル化は欧米諸国の企業に大きく遅れを取る形になっていると言えます。
 

2種類のデジタル化

製品・サービスのデジタル化

1つ目は「製品・サービスそのもののデジタル化」です。例えばSpotifyのような音楽ストリーミングサービスが普及したことによって、レコードやSDといった物理的な媒体の需要が減りました。デジタル化された製品・サービスの普及は、消費行動をも変化させます。
 

ビジネスプロセスのデジタル化

2つ目は「ビジネスプロセスのデジタル化」です。ここで言うプロセスとは、製品・サービスを提供する際に利用されるもの(自動化や設備保全・管理、生産管理、顧客行動分析)を指します。例えば、コンビニエンスストアの店内の商品を管理するzっ用法端末は年々進化していますし、チケットを購入できるマルチメディアステーションも進化しています。
こういったデジタル化は今や、IT関連産業のみならず、あらゆる産業を変革しています。
 

デジタル化の3つの要因

デジタル化の要因は「モジュール化」「ソフトウェア化」「ネットワーク化」の3つに分類できます。

モジュール化

モジュール化とは、インターフェースを標準化することによって、個々の部品を個別に設計できるようになることです。例えば、電子書籍については、通信ネットワーク、ハードウェア・OS、閲覧アプリ、コンテンツストア、コンテンツをそれぞれ個別に設計できます。
 

ソフトウェア化

ソフトウェア化とは、ハードウェアとしての性質を持っていた製品・サービスがソフトウェアに置き換わることです。「本が電子書籍になること」や「人間の代わりに人工知能が判断を行うこと」などがソフトウェア化の例として挙げられます。
 

ネットワーク化

ネットワーク化とは、製品・サービスのインターネットへの接続が進むことです。近年、自動車においても道路交通情報・ニュース・音楽などを配信する情報提供サービスの搭載が一般化しています。

これからの企業は、上記の3つの要因が相互に進展しながら進むデジタル化に対応していくことが求められています。
 

 

デジタル化のメリット

業務が効率化できる

業務のデジタル化の実施は、人の手によって行っていた手間と時間のかかる業務を効率化できるといったメリットがあります。例えば、従来まで紙媒体だった書類をデジタル化し、承認システムで決裁を行うようにすれば、書類の流れはよりスムーズになります。さらに、繰り返し行われる業務をデジタル化した場合、業務の速度も正確性も向上するといったメリットがあります。
デジタル化によって人の業務負担が減少した場合、その分余った人の力を人の手でしか行えない業務を行ってもらうことが可能になります。このようにデジタル化は業務は効率化し生産性を向上させることができます。
 

事業継続性が確保できる

デジタル化の実施は、事業継続性の確保に効果的な点がメリットの一つとして挙げられます。デジタル化を推進した場合、オフィスで災害やトラブルが起きたとしてもオフィス外から業務を続けることができ、また積み重ねてきた重要なデータを消失するといったリスクがありません。
コロナウイルスが蔓延している状況において、在宅勤務という感染防止対策を取りながらも事業が継続できたのも、デジタル技術が貢献した結果と言えるでしょう。
しかし、業務をデジタル化した場合、デジタル面での脅威に備える必要があり、その脅威にはセキュリティ対策などが挙げられます。
 

多様な働き方が可能になる

デジタル化の実施は、多様な働き方の実現も可能になります。デジタル化で効率化された業務は時間や場所を制限されにくいため、従業員は社内に滞在していなくても仕事をすることができます。近年では、リモートワークが活発に行われており、デジタル技術は自宅での円滑な業務を可能にしています。
業務のデジタル化は、それぞれの従業員に合った働き方を与え、ワーク・ライフ・バランスの向上に繋がっています。
 

手続きをスムーズに行うことができる

デジタル化を実施した場合、各種手続きをスムーズに行えるようになります。例えば、書類をデジタル化しておけば、手書きで書類を作成したり署名したりする必要はなくなるため、書類の作成や承認はオンライン上で行うことができます。さらに、労務管理や経理業務も、デジタル化を実施した場合は人間の手による複雑な計算は必要なくなり、業務を正確で迅速に行えるようになります。
デジタル化によってさまざまな手続きをスムーズに行えることは、業務の効率化だけでなく、従業員の満足度向上にも貢献します。

 

 

デジタル化のデメリット

コストが大きくなる

デジタル化を実施するにはパソコンなどのハードウェアやOfficeなどのソフトウェア、インターネットに接続するための環境などを整える必要があり、コストが大きくなります。さらに、社内で共有サーバーなどを管理する場合には、災害等に備えた追加の費用も必要です。
デジタル化を実施した場合は業務効率化や生産性向上のメリットがあるので、長期的に見れば企業にとってプラスになりますが、導入時の初期コストやレンタル・リース料などの運用コストはどうしても必要になります。
 

厳重なセキュリティが必要となる

セキュリティ対策をおろそかにした場合は、データの改ざんや紛失、個人情報の流失などのリスクが生まれ、顧客からの信頼を失ってしまう可能性があります。
そのため、「ファイルにアクセスできる従業員を限定すること」や「業務に関係のない書類を利用しない」などの設定やルール整備が重要です。また、コストは大きくなりますがウイルス対策ソフトやファイアウォールの導入、セキュリティ教育をすることで、さらに大切な情報を守ることができます。
 

システム障害や故障の発生

デジタル化を実行することで多くのメリットを得ることができます。しかし、そのシステムが使えない事態が発生した際には何も行うことができなくなります。
例えば、「必要な時にデータを確認できない」「この作業は自動化されていたからやり方がわからない」などの問題が起こる可能性が生まれます。そのため、「データはバックアップをすること」や「もしもの場合のためにマニュアルを作成しておくこと」などが重要です。
 

各業界のデジタル化の現状

製造業のデジタル化

製造業においてはアナログで非効率な業務を、革新的なシステムやロボット、ツールで改善して、生産性を向上することを目的としてデジタル化を推進しています。
例えば、スキルやノウハウをデータ化することで作業の標準化を行ったり、従来まで紙媒体で伝達していた管理システムをデジタルツールで電子化しています。
また、デジタル化を行うことで生産性の向上の他に作業負担の軽減や生産体制の安定、在庫管理の効率化などのメリットがあり、特に作業負担が軽減されることで、従業員の安全や健康を守ることに繋がります。
 

金融業(銀行)のデジタル化

お金と情報を取り扱う銀行では、従来まで外部とのネットワークから切り離されたレガシーシステムを利用するのが一般的でしたが、現在ではデジタル化を求める顧客のニーズに合わせて新しいシステムへの対応が求められているのが現状です。
さらに、AIを導入することで業務の自動化を推進し、従業員の働き方や生産性の向上を目指す取り組みも見られており、また、「デジタルバンク」というサービスも人気となっており、スマートフォンから預金や送金などを行うことができます。
 

小売業(アパレル)のデジタル化

アパレル業界にとって、大きな収益源となる百貨店などの店頭販売は新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛によって大きな影響を受けます。
デジタル化においては、検品データの連携や進捗管理をデータ化することで、生産性を向上させている企業もあり、また、デジタル技術を利用したオンライン展示会やECサイトでの販売を強化を行っている企業もあり、従来までには無かったデジタル化も行われています。
 

デジタル化の事例

ダイムラー

自動車産業は現在、次の4つの変化に直面しており、デジタル化の影響を強く受けています。

  1. ・コネクティビティ(Connectivity:持続性)
  2. ・オートノマス(Autonomous:自動運転)
  3. ・シェアード(Shared:共有)
  4. ・エレクトリック(Electric:電動化)

これらの変化のことを、各用語の頭文字をとって「CASE」と呼びます。この「CASE」というコンセンプトを意識して中長期の経営方針を模索しているのが、ドイツの自動車メーカーのダイムラーです。
同社は10年前からシェアリングやモビリティサービスなどに進出しています。例えば、ダイムラーの車をシェアできるカーシェアサービス「Car2go」ではダイムラー自らが車を提供しています。Car2goに一度登録すれば、後はスマートフォンやパソコンから、手軽に予約やレンタルなどの手続きを行うことができます。車両は駅や空港で乗り捨て可能であり、料金体系もシンプルであることを追求しています。
また同社では、電車やバスなどの公共交通機関や配車サービス、カーシェアリングなど、様々な移動手段を組み合わせて目的地までの最適な移動ルートを検索・予約できる「moovel」というサービスにも力を入れています。

 

 

ストライプインターナショナル

ストライプインターナショナルは、アパレルの製造・販売を展開する日本企業です。同社はもともとセレクトショップでしたが、1999年に後の主力ブランドとなる「earth music & ecology」を立ち上げたのを機にSPAに転換し、業績を伸ばしました。
アパレルビジネスはこれまで、百貨店や路面店などの小売店を中心としたビジネスでしたが、近年ではインターネット上でECサービスを行う企業が躍進している分野です。
そこで、ストライプインターナショナルはアパレルビジネスのデジタル化を進め、定額借り放題のサブスクリプションモデルである「メチャカリ」を開始しました。「メチャカリ」では基本料金・月額5800円で、同社のブランドを中心に様々な洋服を何度でも借りることができます。
なお、「メチャカリ」の会員の約7割は、ストライプインターナショナルの既存顧客ではない顧客だといわれており、同社の既存ビジネスと同士討ちを起こしていません。さらに、利用者から返却されたアイテムは、中古品として自社ECサイトなどで販売し、収益を得ています。
 

 

デジタル化に対応する条件

まず、産業やビジネスにデジタル化が押し寄せる際の要因としては、先に説明した3つの要因(モジュール化、ソフトウェア化、ネットワーク化)を挙げることができますが、ここでは「企業がデジタル化に対応する際の条件」を挙げます。

価値提案やビジネスモデルの見直し

第一に既存の事業の価値提案(バリュープロポジション)やビジネスモデルを見直すことが必要です。まずは、自社の現状をしっかりと把握する必要があります。
無駄な手間や時間がかかっている業務はないか、災害時における事業の継続はできそうかなど、自社の業務を見直し、改善すべき課題を見つけます。ダイムラーやストライプインターナショナルの例にしても、自社の旧来の事業にとらわれることなく、デジタル化に対応する新サービスを手掛けています。
 

既存事業との関連性の検討

第二に、新サービスと既存事業との関係性を検討することが必要です。例えばダイムラーの場合、Car2goでは自社の車を用いる一方で、moovelでは自社の車に限らず他の交通手段を提案しています。メチャカリの場合は、既存事業とは異なる顧客をターゲットにしており、既存事業との同士討ちを最低限にとどめています。
デジタル化に対応する場合は、①既存事業から独立させる、②既存事業を代替する、③部分的な対応のみで既存事業をほぼ存続させる、といった意思決定が必要となります。またその際、既存事業と新事業をどのような組織形態で行うのかも検討する必要があります。

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