ビジネスモデル, 情報技術・IT

クラウドソーシング

Webサイト制作

クラウドソーシングとは、ビジネスに必要となる物品やサービスを調達したい「企業」と、その仕事を請け負う「個人」を仲介するサービスです。クラウドソーシングという名称は「クラウド(Crowd:群衆)」と「ソーシング(Sourcing:調達)」からなる造語です。
これまで、企業が社内外業務を外部に調達する手段としては、他社に委託を行う「アウトソーシング」がありましたが、クラウドソーシングの委託先は個人となります。従来、企業が個人の委託先を探すには多大なコストが必要でしたが、インターネット上にクラウドソーシングのプラットフォームビジネスが出現したため、起業から個人への委託が爆発的に増加しました。
クラウドソーシングの資金調達版ともいえるのが「クラウドファンディング」です。
 

 

クラウドソーシングの種類

コンペ型

コンペ型とは、発注料金が事前に提示されており、応募者が完成品を提案する形です。例えば、10万円で企業のロゴのデザインを公募し、それに対して個人が完成デザインを応募し、企業が採用作品を選ぶ、といった形です。
発注側は、受注者を決定後に、コンペ作品の手直しを依頼してブラッシュアップしていくことはできますが、受注者を選定する段階でなるべく狙いに沿ったデザインを作成してもらい、手直しの時間や依頼内容の齟齬がないように、発注側が求めるイメージや色、雰囲気などを、できる限り詳細に指定するようにしたほうがいいでしょう。
報酬は、募集時にクラウドソーシングサイト運営業者に仮入金しておき、製品の納品が完了したら、受注者に支払われるといった形です。
 

 

プロジェクト型

プロジェクト型とは、複数の個人から見積もりや提案書を提出してもらい、過去の実績なども加味した上で、特定の個人に業務を依頼するものです。ホームページの作成やコンサルティングなど、専門性の高い仕事を発注する際に選ばれることが多いタイプです。プロジェクト型は従来の「アウトソーシング」に一番近い形態であり、制作途中で何度かチェックをしたり、修正依頼を出したりすることもできます。例えば、システムの開発やウェブサイトの作成、記事の作成など、ある程度専門的なスキルと時間が必要な場合に適している形態です。
報酬は、依頼時にクラウドソーシングサイト運営業者に仮入金しておき、製品の納品が完了したら、契約終了となり受注者に支払われるといった形です。
 

 

タスク型

タスク型とは、複数の個人に1つの業務を分割して発注するものです。例えば、膨大なデータ入力を複数の個人に分割発注するような案件が該当します。報酬は依頼時に報酬をクラウドソーシングサイト運営業者に仮入金しておき、作業完了後に提出されたデータを発注者が承認した後に、受注者に報酬が支払われるといった形です。
 

 

クラウドソーシングの仕組み

発注する企業と受注する個人の両方が必要

クラウドソーシングは、プラットフォームビジネスです。そのため、クラウドソーシングを成立させるためには第一に、業務を発注したいと考えている企業と、業務を受注したいと考えている個人の両方が必要です。同時に、クラウドソーシングを利用することで、この両者が直接取引を行う場合と比べて、利便性や信頼性が確保されることが重要です。
 

 

個人が持つスキルの多様性と数、品質

クラウドソーシングにおいては、受注者である個人が持つスキルの多様性や数が重要となります。また、発注者が担保したいのは「仕事の質」です。そのため、クラウドソーシングのサービスでは、発注者が受注者の仕事を評価する仕組みを導入ていることがほとんどです。また、登録者のスキルや能力を評価するテストも行っています。
 

 

クラウドソーシングの仕事内容

クラウドソーシングの主な仕事内容は以下の通りです。

  • プログラミング
  • Webデザイン
  • イラスト・音楽制作
  • Webライティング
  • アンケート・感想・モニター

プログラミング(システム開発)

まず初めに、クラウドソーシングで委託されている大多数の仕事はプログラミングを使ったシステム開発の仕事です。
専門的なスキルや経験が必須になるものの、報酬は数万円〜数十万円になることもあり、クラウドソーシングで受注できる仕事の中では非常に報酬の高い仕事です。
システム開発ができるレベルのプログラミングスキルがある、ITエンジニアやプログラマーとしての実務経験があるという方がこの仕事を受注しています。

 

 

Webデザイン

次に、Webデザインの仕事です。
おもにHTMLとCSSという簡単なプログラミング言語の知識を活かし、発注内容に従いながらWebサイトを制作したりする仕事です。初心者には難しいですが、発注されている仕事も多いため、実績を積むほど高い報酬額で受けられる仕事です。

 

 

イラスト・音楽制作

イラスト制作や音楽制作もクラウドソーシングで求められています。イラスト制作や音楽制作などは専門のクラウドソーシングサービスがあるため、そこのほうが仕事が見つけやすいです。
イラストはSNS用アイコンやWebサイト用・広告用などのイラスト制作の仕事が求められており、音楽はYoutubeの効果音やBGMなどが発注されています。

 

 

Webライティング

Webライティングとは、Webサイトやブログに掲載する文章を書く仕事です。依頼主が指定したテーマや文字数に従って文章を書いて依頼主に提出します。
パソコンとインターネット環境を持っていれば始められる仕事で、特別な資格やスキルを必要としない仕事が多めです。
「文章を書くのが好きな方」や「自分でブログを運営している方」にとってはおすすめの仕事ですが、未経験でも仕事を受けることができる場合があるため、クラウドソーシングとして仕事を受注することは比較的簡単です。
報酬額は一般的に文字数によって決定され、相場は1文字1円前後ですが、Webライティングの経験や専門知識を持っている場合、1文字2〜3円に報酬額が高くなることもあります。

 

 

アンケート・感想・モニター

プログラミングやWebライティングよりもさらに容易に受注できる仕事としてアンケートや口コミを書く仕事もあります。
口コミやアンケートを集めたいクライアントが募集している仕事であり、Webライティング未経験という方はこのような案件から挑戦して慣れていくのもいいでしょう。スマートフォンからできるものも多いため、暇な時間に仕事をできるのもメリットですが、簡単な仕事である分、報酬額も低めのため1件あたり数十〜数百円ほどが普通です。

 

 

発注側のメリット・デメリット

発注側のメリット

コストが抑えられる

クラウドソーシングを利用することで、時間的や教育コストが抑えることができるというメリットがあります。社内で業務ができる人材を育てるためには、多大な時間と教育コストが必要です。そのような場合にクラウドソーシングを利用した場合、すでに知識を持っている専門家に仕事を委託できるため、時間と教育コストが必要ありません。
時間と教育コストを抑えることで、社員にはメインとなる業務を任せられるという点もメリットの一つであり、クラウドソーシングをうまく活用することで、売上を増やしている企業はたくさんあります。
 

 

専門知識やスキルを持ったユーザーに業務を委託できる

クラウドソーシングには専門知識やスキルを持っているユーザーが大勢います。そのような専門家に業務を委託できる点は、クラウドソーシングのメリットの一つです。また、クラウドソーシングでは、自社にはないスキルや専門知識を素早く補充することに役立ちます。特に、人材に余裕がないスタートアップ時期の企業にとっては、業務のスピードアップも可能です。
質のいいバナーを作りたい、アプリ開発をしたいなど、専門家の技術が必要な業務には、クラウドソーシングを活用は非常に効果的な手段となります。
 

 

必要なときのみ利用できる

創業したばかりの会社がウェブサイトを開設する場合など、業務の中にはある一定の期間のみ必要になる業務が生まれるケースがあります。クラウドソーシングサービスを利用する場合、必要になった時のみ手軽に専門家に業務を委託することができるというメリットがあります。
 

 

業務の効率化が図れる

クラウドソーシングで業務を外注することで、社員はメインとなる業務に集中できるというメリットがあります。その結果社員の業務効率化につながり、売上増加につながる可能性が生まれます。
クラウドソーシングを利用する場合は、どの業務を外注すべきかの判断が重要となり、社内でやる必要がない業務はクラウドソーシングを活用して業務の効率化を図ることができます
 

 

発注側のデメリット

自社のノウハウが流出する可能性がある

クラウドソーシングでは社内の業務を社外の方に外注するため、場合によっては自社のノウハウが流出する可能性があります。多くのクラウドソーシングサービスではNDA(秘密保持契約書)が用意されているため、社内の情報やノウハウなどを流出させたくない場合は、欠かさずNDAを締結させておくことが重要です。
 

 

求めるサービスや人材を探すことが困難な場合がある

外注したい仕事の内容によっては、クラウドソーシングでサービスや人材を探すことが困難な場合があります。クラウドソーシングにはプログラマー専用サイトの他、動画の編集、翻訳など、さまざまなカテゴリーに特化されたサービスがあるので、目的の用途によってクラウドソーシングも探してみてください。

 

 

社内人材の成長の機会を失う

クラウドソーシングを利用すると比較的簡単に外部の専門家に仕事をしてもらうことができるため、自社に技術やノウハウがない業務に関して常に外部に仕事を委託していると、結果として社内の人材の成長の機会を失ってしまう危険性があります。
また、社内に技術やノウハウを蓄積できないため、長期的に見ると会社にとってマイナスになってしまう可能性もあります。
 

 

受注する側のメリット・デメリット

受注する側のメリット

好きな場所・好きな時間に働くことができる

クラウドソーシングを活用することで、好きな場所や好きな時間で働くことが出来る点がメリットの一つです。クラウドソーシングはオンラインでの打ち合わせが基本のため、場所や時間に縛られずに働くことができます。そのため企業に勤める会社員として働いていても、副業としてクラウドソーシングで仕事を受注することも可能です。フリーランスという働き方全体に適応されることですが、基本的に仕事を開始する時間も終える時間も自分でコントロールすることができます。さらに、余裕のある時間をうまく使うことで、短い時間で完了できる仕事やアイデア募集形態の仕事を定期的に受注すると、収入のアップも望めます。
 

 

仕事を選ぶことができる

クラウドソーシングでは様々な案件に、受注者が応募する仕組みのビジネスモデルです。自分が得意な種類の仕事を選んで応募できるため、苦手分野の仕事をわざわざ請け負う必要はありません。フリーランスとして働くことのデメリットとしてあげられるのが、すべての作業を一人でこなさなければならないという点であり、自分の不得意な作業にぶつかることもしばしばあります。しかし、クラウドソーシングの場合は、自分が得意な仕事のみを選んで受注することができるので、自分の強みを最大限に活かして報酬を得ることができるのです。
 

 

打ち合わせの手間や交通費がかからない

クラウドソーシングでは実際にクライアントとミーティングや会議をすることはあまりありません。クライアントとはチャットやビデオ通話でのやりとりが基本になり、場合によってはメールのみで打ち合わせをする場合もありますが、打ち合わせ場所へ向かうための交通費や打ち合わせスペースの準備などの手間はかからないため、この点はメリットと言えるでしょう。
 

 

受注する側のデメリット

安定した収入を得にくい

クラウドソーシングでは、受注した仕事に対して報酬が支払われる仕組みなので、常に仕事が受注できるわけではありません。そのため、一般的に企業で働く正社員とは反対に、安定した収入を得にくいというデメリットがあります。
クラウドソーシングの収入を安定させることは難しいため、はじめは会社で働きながら副業として仕事を受注してみるなど、いきなりクラウドソーシングを本業としてではなく、他の収入源を確保しておくという方法もあります。他の仕事とクラウドソーシングをうまく組み合わせることで、リスクを最小限にできながら全体の収入も増やせるかもしれません。
 

 

コミュニケーションを取るのが困難な場合がある

クラウドソーシングではチャットツールなどで連絡を取り合うため、コミュニケーションがうまくいかない場合があります。また相手との間に仕事の温度差がある、言葉の齟齬が発生するなどのトラブルもあります。
クラウドソーシングサービスの中には、ビデオ通話を使ってクライアントとコミュニケーションをとれるサービスやケースもあるため、チャットツールとビデオ通話をうまく活用して、クライアントと円滑なコミュニケーションを行うことが重要です。
 

 

どんなクライアントなのかわからない

クラウドソーシングでは、実際にクライアントに会って話すことはないため、本当に信頼出来るクライアントなのかを見抜くのが難しいこともあります。中には契約にはなかった業務まで行わなければいけない場合や、プロジェクトの進行中に音信不通になる、または報酬を払わないクライアントに会うかもしれません。そのため、仕事の発注内容やルールを事前に十分確認し、クライアントが過去に発注した依頼内容をチェックしておく必要があります。時にはクラウドソーシングサービスの運営側に仲介してもらいトラブルを回避しましょう。

 

 

仕事の責任は自分にある

クラウドソーシングで仕事をすることは、フリーランスとして仕事をすることに近いため、受注した仕事の責任は自分自身で負い、問題が発生した際は自分の力で解決する必要があります。会社員のように、上司や同僚の助けを得られない可能性があるため、仕事に対しては人一倍注意を払う意識が求められます。
何か問題が発生した場合は、その問題を発注した企業に隠したり先延ばしにしたりせず速やかに報告し、どうすればいいのか対策を聞いたりコミュニケーションを行うことが大切です。
 

 

クラウドソーシング運営側の問題点

多くのプラットドームが乱立すると、価格競争に陥り、サービスの質を維持できなくなる可能性があります。
そのため、ソフトウェアのテストに特化した「TESTERA」(日本)や、キャラクターデザインに力を入れる「MUGENUP」(日本)のように、分野を絞った差別化されたサービスをリリースすることが一般的ですが、差別化の程度が中途半端な場合、総合型の大手クラウドソーシングサービスに買収されたり、あるいは大手サービスに追随されたりする恐れがあります。
また、発注企業と個人との間で一度信頼関係が構築されると、クラウドソーシングサービスの仲介を無しにして直接取引が行わわれる「中抜き」状態となる可能性もあります。

 

 

クラウドソーシングの将来性

クラウドソーシング上では契約をするときに、発注側と受注側についてそれぞれの情報が確認できます。
最近では本人確認書類の提出を求められるクラウドソーシングサイトもありますが、どうしても実際に仕事をしてみないとわからない部分もあります。
そのため、発注側はクラウドソーシングの人材には重要な仕事を行わせづらく、受注側はなかなか単価が上がらないという状態になります。
そういった背景から、ユーザーからは「クラウドソーシングで仕事をしても報酬が少ない」と言われることもしばしばです。
クラウドソーシングという働き方が提唱されたのは2005年からであり、クラウドソーシングの歴史は他の業務形態に比べてまだまだ新しいビジネスモデルと言えます。
そのため、発注側と受注側の両方に「クラウドソーシングの活用法」に関する十分なノウハウがまだ無いため、発注側はどのようにクラウドソーシングを利用して、その使い方をいかに開発するか。受注側はどのようにスキルアップを行って売上を伸ばしていくか。仲介業者はどのように受注側と発注側をサポートするか。
このような課題を解決していくことで、クラウドソーシングは新しい働き方としてさらに広まっていくでしょう。
 

 

クラウドソーシングはスタートアップ企業に適している

クラウドソーシングは、気軽に専門家のスキルを利用できるサービスのため、資金や人材で余裕がないスタートアップ企業にとっては、適しているサービスと言えます。
企業が案件を発注するには、プロジェクト、コンペ、タスクという3つの種類があるため、求める仕事の内容に応じて、好きな種類の案件を選ぶことができます。しかし、デメリットでも説明したように、クラウドソーシングの使い方によっては社内の人材の成長をを阻害することもあるため、その点を念頭に置いておく必要があります。
 

 

クラウドソーシングの企業例

ランサーズ

ランサーズは「時間と場所にとらわれない、新しい働き方をつくる」をモットーとする、日本で初めてのクラウドソーシングサービスです。2008年12月にサービスを開始しました。
ランサーズでは、ホームページの作成やアプリ開発、データ収集、生地作成など、250を超える仕事のカテゴリーを対象に、登録者数50万人以上とも言われる個人に対して仕事を依頼することができます。これまでの依頼総額は2,000億円を超えています。
ランサーズではまた、自社サービスを「フリーランス総合支援プラットフォーム」と位置づけ、ITフリーランス紹介サービスや法人向け発注業務代行サービスなども行っています。
 

 

Viibar

Viibarは、日本で運営されている動画作成に特化したクラウドソーシングサービスです。商品やサービスを紹介する高品質な動画の作成が強みです。
動画を作成するためには、音楽や映像、アニメーション、撮影や編集など、様々な素材や機能が必要となりますが、Viibarはそうした個々の分野で専門スキルを持つ個人と、動画作成を依頼する企業とを仲介する役割を持っています。大企業のみならず、ネットショッピングに算入した中小企業の低予算動画の需要なども取り込み、成長を続けている企業です。
通常、後発の企業がランサースなどの大手総合型プラットフォーム企業と勝負するにあたっては何かしらの差別化が必要となってきます。その点において、Viibarのような「特定分野への特化」は非常に有効な戦略です。分野特化型のクラウドソーシングサービスには他にも翻訳に特化した「Gengo」などがあります。
 

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