退職給付引当金繰入額

勘定科目	分類	詳細	計上される時期
損益計算書	費用	販売費及び一般管理費	退職給与引当金に繰り入れた時

法人税	費用の見積もり計上は認められていないため、退職給付引当金の繰入額は損金の額に算入されません。退職給付は、支払確定時の損金の額に算入されます。
消費税	課税対象外です。

退職給付引当金繰入額（または退職給付費用）とは、将来、従業員が退職する際に支払われる退職金の支給に備えて設ける引当金を退職給付引当金といい、当期に繰り入れた引当金を計上する勘定科目です。退職給付引当金は、退職金が従業員が毎年勤務したことにより発生するので、毎期繰り入れます。

中小企業向けの退職金制度として、独立行政法人勤務者退職金共済機構による「中小企業退職金共済制度（中退協）」があります。事業者が中退協と契約を結び毎月掛け金を支払うことにより、退職時に従業員に直接退職金が支払われます。掛け金は全額、会計上では費用、税務上では損金としてある飼われます。
他には「確定給付型退職年金制度」などの退職年金制度もあり、これに支払う掛け金は全額費用となり、そして税務上では損金扱いとなります。

 

 

退職給付費用の計算方法

退職給付費用は原則として以下の計算式によって計算されます。

退職給付費用＝勤務費用＋利息費用－期待運用収益＋過去勤務債務・数理計算上の差異

• 「勤務費用」とは、退職給付見込額のうち、当期に発生したと認められる費用です。
• 「利息費用」とは、期首の退職給付債務に割引率を乗じた額です。
• 「期待運用収益」とは、期首の年金資産に期待運用収益率を乗じた額です。
• 「過去勤務債務・数理計算上の差異」とは、退職給付水準の改定等で発生した退職給付債務の増加・減少額と、年金資産の期待と実際の運用成果の差異などです。

 

 

退職給付引当金繰入額の摘要（取引例）

退職給付引当金繰入額-たいしょくきゅうふひきあてきんくりいれがく-	退職給付費用-たいしょくきゅうふひよう-
退職金要支給額繰入-たいしょくきんようしきゅうがくくりいれ-	従業員退職給付引当金繰入額-じゅうぎょういんたいしょくきゅうふひきあてきんくりいれがく-
役員退職給付引当金繰入-やくいんたいしょくきゅうふひきあてきんくりいれ-	—

 

 

 

退職給付引当金繰入額の仕訳例

決算につき、退職給付費用30,000,000円を繰り入れた

借方	金額	貸方	金額
退職給付引当金繰入額	30,000,000	退職給付引当金	30,000,000

 

 

役員の退職給付引当金60,000,000円を繰り入れた

借方	金額	貸方	金額
役員退職給付引当金繰入額	60,000,000	役員退職給付引当金	60,000,000

役員の退職給付引当金は、役員と分かるように従業員のものとは区別します。

 

 

退職給付引当金8,000,000円を設定済みの従業員が退職することとなり、退職金10,000,000円から源泉所得税等1,000,000円を控除して普通預金から支払った

借方	金額	貸方	金額
退職給付引当金	8,000,000	当座預金	9,000,000
退職金	2,000,000	預り金	1,000,000

 

 

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