生産・物流, 経営戦略

密度の経済

密度の経済とは、ある特定のエリアに集中的に店舗などを展開すると主に運送費や広告費などのコストが低下するという経済効果のことです。

密度の経済の効果を得るためには、店舗や配送センターなどの運営費を上回る売り上げを確保できるかどうかが最低条件となるため、例えば、小売業が多店舗展開を行う際、広範囲の地域に1店舗目を関東に出店し、2店舗目を東海、3店舗目を関西というような出店の仕方はブランドの広告に効果があるように見えますが、実際は効率が悪い例です。
というのも例えば、事業の中心となるエリアが関東だった場合、配送拠点となる運送センターも関東になるでしょうから、初期は拠点である関東から遠方の東海や関西へ運ぶか、もしくは各地に新たな配送拠点を作らなければならず初期のコストが増加します。
また、広告を出稿する際も各ローカル局でコマーシャルを流したり、地域ごとに新聞広告を出したり、コストがさらにかかります。これらはスタートアップの時点では無駄で膨大なコストとすることができるでしょう。

 

 

ドミナント戦略とのかかわり

密度の経済はドミナント戦略と混同されることも多々ありますが、違いという概念はありません。
ドミナント(dominant)は直訳で「支配的」という意味で、ドミナント戦略とは同じ地域に同じブランドの店舗を集中展開して、密度の経済の効果を享受しようという狙いの戦略なのです。
フランチャイズモデルの場合はドミナント戦略を実行することで事業コストを低下させることだけでなく、本部の営業指導も効率化できるので、小売りや外食チェーン店とも相性がいいとされています。
セブンイレブンはドミナント戦略の効果として以下の5つの点を挙げています。

  1. チェーン認知度の向上
  2. 来店頻度の増加
  3. 物流効率の増加
  4. 加盟店への経営アドバイス時間の確保
  5. 広告効率の向上

 

 

密度の経済のメリット

コストの低下

例えば、前述したように拠点とするエリアのほかに、離れたエリアに店舗を構えるとします。するとそれぞれの場所で広告や物流センターが必要になってきます。
一方で同じ市場でも近くのエリアに店舗を構えるとします。すると近くのエリアに同じ店舗があること自体が宣伝効果となります。また店舗間の距離が近い事は商品の運送においても有効で、物流コストも削減できます。
特に密度の経済は運送費のコスト削減効果が優れているため、特に地域ごとに物流や宣伝が必要になる小売業やサービス業で有効といわれています。
また、ドミナント戦略を採用すると、地域の特性や需要にあったモデル店舗に臨機応変に対応させることができるため、すでに開発済みである地域における新規出店の開発費用も抑えることができます。

 

 

他社の参入を阻止

特定のエリアの店舗間の密度を高めることで強みを作ることができれば前述したように運送費や広告費などのコスト優位を生み、それを原資として、さらに差別化された商品開発や強力な販促への投資が可能になります、密度の限界を検討しながらさらに店舗を集中させることで、新規参入のブランドの同業者は集中的に店舗を展開することができなくなり、密度の経済の効果を享受することができなくなります。また広告としての効果もほとんどありません。

 

 

密度の経済のデメリット

密度の不経済

反対に出店密度を高めすぎると、店舗間の売り上げの奪い合いや費用が増加するなどします。(カニバリゼーション)。これは小売りや外食チェーンで顕著に表れ、密度の経済の効果を最大にするためのノウハウの蓄積や構築がカギとなっています。

また近年急速に成長を遂げたオンラインネットショッピングの配送においても需要に応えるために配送業者が取り扱う配送数を爆発的に増加させ、人件費や配送の外注委託費などのコストが増えるのに加え、ドライバーの働き方も深刻な社会問題になりつつあります。

 

 

密度の経済の代表企業例

コンビニ

コンビニなどは一つの地域に数十メートルも離れていない場所に新しい店舗を展開するケースもあります。
複数の地域に分散している場合に比べて、集中して出店するほうが物流センターから各店舗への商品配送が効率的になり運搬コストも低下します。
また同じ地域に同じビジネスを固めることで広告宣伝費などの共有コストを減らす狙いもあります。

セブンイレブンは1974年の国内初出店以降、一貫してドミナント戦略で出店を続けており、2019年7月からはドミナント戦略が懸念された沖縄へ初出店をし、2024年までに沖縄県内に250店舗を出店する計画を発表しており、これは、約50年のドミナント戦略での工場や配送センターなどでのノウハウの蓄積から、沖縄県でも密度の経済を実現できると判断したためと言われています。同社はまた、海外にも力を入れ続けており、海外で最も有名な日本企業はトヨタであることは間違いありませんが、次点にセブンイレブンが続く可能性も低くありません。

 

 

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