ビジネスモデル

アドオン

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アドオンとは、ある商品サービスに関する「追加販売」で収益を発生させる仕組みです。例えば、通常「JAL」や「ANA」などの日本の航空会社の標準的な機内サービスにおいては、サービス代金が実質的に航空運賃に含まれているため、飲み物や食事は無償で提供されます。一方、LCC(Low-cost Carrier)である「Peach」の航空運賃はJALやANAに比べて安価ですが、機内で提供される飲み物や食事はすべて有償で提供されます。最も安価なプランである「シンプルピーチ」では、受託手荷物も有料です。
また、統計分析ソフトウェアSAS Analytics Pro」には、ソフトウェア単体で実行できる統計分析のほかに、より高度な統計解析や時系列予測などを行うことができる「統計解析アドオン」と呼ばれる有料オプションが提供されています。
アドオンにおいて基本の商品やサービスに追加されるものは以下のいずれかになります。

  1. 商品やサービスの基本部分を補完し、機能を充実させるもの
  2. 基本商品や基本サービスに比べて、付加価値の高いもの

 

 

企業がアドオンを採用する理由

企業がアドオンを採用する理由は、既存顧客から得る収益幅を拡大させるためです。一般的に、企業が新規顧客を開拓するためにはコストや時間が必要です。そこで、すでに自社の製品を利用している顧客に対して追加販売を行うことで効率的に収益を得ることができます。
また、企業がすべての顧客ニーズに一度に完璧に対応しようとすると、最初からあらゆる製品を用意しておく必要があります。例えば、前に説明したsASが1つの製品であらゆる統計を可能にしようとすると、結果的に高価な多機能ソフトウェアとなり、買い手を選んでしまう可能性があります。これは企業からするとリスクになります。
アドオンは、追加分を顧客に選ばせることで、企業からすると基本部分を確実に販売しようとする仕組みであると言えます。

利用者側にとってのアドオンのメリット

自由にカスタマイズが出来る

まず初めに、アドオンを追加することによって基本サービスを自身が使いやすいように自由に機能を拡張しながらカスタマイズすることができるというメリットがあります。ソフトウェアの場合は、多くのアドオンがワンクリックで機能の有効可・無効化を選択出来る簡易的な作りになっていることも特徴の一つです。アドオンを追加してカスタマイズすることで、他の人は持っていない自分だけの唯一無二のオリジナルのサービスとして利用することができます。

作業効率の向上

アドオンを追加することによって、自分が使いやすいように機能を拡張させ、格段に作業効率の向上を実現することができるとうメリットがあります。ブラウザのアドオンを追加する場合は、検索結果のカスタマイズや広告の非表示、情報の記憶など自身にとってより利便性が高い環境へとカスタマイズしていくことで標準なブラウザでは実現出来なかった作業工数を減らし、高いパフォーマンスを実現することが出来るというメリットがあります。このようにアドオンを追加することによって、作業を快適に行えるようになり、ストレスフリーで作業をすることができるようになります。

事業者側にとってのアドオンのデメリット

アドオンに付加価値を持たせる必要がある

アドオン部分が基本部分に対して付加価値がない場合、利用者はアドオンの選択を行いません。また、アドオン部分を高額に設定しすぎてしまうと、顧客は基本部分のみの利用で完結させてしまう可能性があります。さらに、提供される製品の基本部分が十分の機能を持つ場合、この場合もまたアドオンを選択するインセンティブが生まれません。

 

アドオンビジネスの成功条件

基本部分だけではすべての顧客ニーズを満たすことができない

アドオンビジネスを成功させるための最大の条件は、企業が提供する製品やサービスの基本部分だけではすべての顧客ニーズを満たすことができない、という点にあります。この記事で紹介しているLCC(格安航空会社)や統計ソフト、ブライダルビジネスの例から分かるように、アドオン部分を追加提供することで、製品やサービスをカスタマイズし、顧客のニーズに対応していきます。

アドオン部分が、基本部分に対して十分に付加価値がある

アドオン部分が基本部分に対して十分に付加価値があるということも重要なポイントです。付加料金が必要な部分が基本部分と性能の差がなければ、顧客の支払い意欲を刺激することはできません。

アドオンによって収益性が低下しない

アドオン部分を追加することで、企業の収益性(利益率)が落ちるようでは意味がありません。そのため、基本部分の提供に必要なコストに対して、大きな追加コストが必要にならないアドオンを選択することが必要になります。

アドオンの事例

IBM SPSS

SPSSはIBMが提供している、学術研究や顧客分析などに利用される統計解析ソフトウェアです。同社の基本ソフトウェアである「IBM SPSS Statistics」には「Base Subscription」という名称の月額課金の基本プランが容易されており、一ヵ月13,800円から利用することができます。このプランでは、因子分析、クラスタリング、線形回帰などの基本的な統計分析が実行できます。
それに加えて、月額11,000円の追加費用で利用可能となる、3種類の高度な統計解析サービスも提供されています。

ブライダルビジネス

ブライダルビジネスは典型的なアドオン型の収益モデルを実施しています。通常、結婚式や披露宴の開催費用は、参加人数や開催時期、場所、提供される料理などによって「基本プラン」が用意されています。
一方、衣装やヘアメイク、演出や装飾、ペーパーアイテム、料理やドリンクのアップグレードなどは、利用者の好みや予算に合わせて選択できるようになっており、その組み合わせによって費用が変化します。

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